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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

「楽をしたら強くなれない」は生理学的にも正論だった

第53回 メカニカルストレスの重要性

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

的外れなストレスはNG

 ただし、強くなるための刺激が必要だといっても、本当に必要な刺激以外のストレスが過剰に強くなってしまうのはNGです。鍛えたい筋肉に強い刺激が加わった結果として「キツい」「しんどい」と感じるのはいいのですが、それに加えて心臓や呼吸器などに過度の負担がかかり、「身体中がつらくて耐えられない」という状態になってしまったら、それは決していいトレーニングではありません

 目的としないところにまで余計なストレスがかかるのは、身体全体にとってもプラスではありませんし、目的とする筋肉を鍛える効果も半減してしまいます。また、フォームが乱れたり、関節などに不要な負荷がかかったりして、ケガにつながる危険性もあります。さらに精神的なストレスも大きくなり、結果としてトレーニングが長続きしないということにもなってしまうでしょう。

 ですから、筋力トレーニングを行う場合、どこにどんな刺激を与えればいいかを考えることが重要になります。特にスポーツ選手は、競技に必要な力を発揮したり、競技での負荷に耐える力を身に付けたりするために、より的確なメカニカルストレスを選択することが必要になります。また、筋肉にしっかり力を発揮させるだけでなく、関節や骨にもそれ相当のメカニカルストレスを加えることで、それらの機能を全体的に高めるということも考えるべきでしょう。

 次回は、メカニカルストレスに重点を置いた具体的なトレーニングを紹介します。

「楽をしたら強くなれない」というのは、
根性論のような印象を受けるかもしれないが、
これは生理学的にも正論。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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