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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

筋肉は1方向にしか縮まない!?  「筋収縮」の仕組み

第5回 一流アスリートの太もも裏側が発達しているワケ

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

拮抗筋はもともとアンバランス

 では、そもそも拮抗筋同士はバランスがとれているのでしょうか。実はそうでもありません。なぜなら前回(関連記事:『筋肉の出力を決める関節という「変速器」』)も説明したように、屈筋はスピードや可動域重視の、伸筋は相対的に力重視型の構造をしているからです。

 例えば、膝の屈曲筋力は伸展筋力の50~60%といわれています(一般人の最大筋力で計測した場合。筋力差はありますが、太さはほとんど変わりません)。ごく普通の生活をする上では、それだけの差があっても問題はありません。

 しかし、スプリンターやジャンパーとなると話は別。前述のように非常に大きなパワーを下半身が発揮するときには、大腿四頭筋とハムストリングスが協調して収縮する仕組みがあるので(股関節が外れないように調整。また、ハムストリングスには膝関節を屈曲するというだけでなく股関節を伸展させる働きがあるため)、ハムストリングスが5~6割しか力を発揮できないという状況は好ましくありません。

 その筋力のままで競技を続けていると、大腿四頭筋の力に耐えられずにハムストリングスが肉離れを起こしてしまったり、もっと重度の障害が起こったりする可能性もあります。ですから、スプリンターやジャンパーは筋力トレーニングによってハムストリングスの強化を図ります。その結果として、外観的にはハムストリングスのほうが大腿四頭筋よりも太くなります(正確には、ハムストリングスだけでなく、内転筋も含めた「脚の裏側の筋肉」が太い場合が多い)。一流選手を見ると、太ももの裏側が非常に発達しています。そうする脚を作り上げることによって、彼らは拮抗筋のアンバランスを調整しているわけです。

(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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