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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

体幹を鍛えれば長友選手のようになれるか?

第51回 パフォーマンスを高める、筋力トレーニングの考え方

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

優秀な指導者の条件とは?

 目的に合ったトレーニングを選ぶのは意外に難しいものです。それは自分の弱点を明確に把握することが簡単ではないからです。昔から指導者の優秀さは、そうした「目利き」の部分で評価されてきたように思います。例えば選手の動きを見ただけで問題点がわかれば、それを補強する練習メニューや筋力トレーニングを課題として与えることができます。優れた結果を生み出す指導者と、そうでない指導者との差は、実はそういうところにあるのでしょう。

 目で見てわからないのであれば数値で評価するしかないと思いがちですが、実際には、その競技の優れた指導者の目が一番確かで、機械で測定したデータはそれに及びません。世の中には「機械は目で見えない何かを測れるのではないか」という期待があるようですが、残念ながら、まだまだ機械は人間の感度に追いつけていないと思います。体温や血圧などは別として、目で見てわからないパフォーマンスを数値化することは、どんなに精度の高い機械を使っても難しいのです。

 逆にいうと、コーチ活動をしている人は、機械に頼らず自分の目をしっかり磨くことが重要です。もしかすると、パフォーマンスの高い選手と低い選手との動きの違いは、一般人でもなんとなくわかるかもしれません。しかし、「何が」「どう」違うのかを把握するには、特別な目が必要になります。また、ベストな動き方は、体形や筋力などの違いによっても変わってくるでしょう。個々の長所や短所を理解し、それぞれの課題や成長度などを分析できるという、一歩踏み込んだ視点をもてるかどうかが、一流の指導者を目指す上でのポイントになってくるように思います

その競技の優れた指導者の目が一番確か。
目で見てわからないパフォーマンスを数値化することは、
どんなに精度の高い機械を使っても難しい。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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