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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

筋力もパワーも持久力もつく…そんな万能トレーニングはない!

第50回 特異性の原則

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

万能なトレーニングはこの世にない

 この特異性の原則を理解しておくことは、実は意外に重要です。というのも、最近は新しいトレーニング法や筋トレのやり方が考案されると、それがすぐにマスコミにもてはやされ、そのほかのトレーニングは無駄とでも言わんばかりのムードになってしまうことがあります。なぜか特殊なトレーニングになればなるほどその傾向が強く、マスコミも「これだけやっていればOK」という捉え方をして喧伝(けんでん)することがあります。コアトレーニングなどは、その典型でしょう。これは注意しなければいけない問題です。

 人間は「これさえやればOK」というものに弱い生き物です。あれもやらなければ、これもやらなければ、と忙しく考えるより、1つのもので大丈夫と言われると安心してしまうという気持ちは理解できます。しかし、残念ながら万能なトレーニングなどはなく、実際にはそのトレーニングに見合った効果しか表れません。このことを、まずはしっかりと頭に入れておきましょう。

 トレーニングのなかには、一見、いくつかの効果をもっていそうなものもあります。

 例えば、筋力もつくけれども筋持久力もそれなりにつくもの。あるいは、筋持久力がつきながら、筋力もそれなりにつくもの。具体的には、サーキットトレーニングで少し筋力へのシフトを意識すれば、筋力がそれなりについて、筋持久力や全身持久力がかなり向上するという効果も期待できます。

 やり方によっては、そのような複合的な効果を狙えることは確かですが、実際には筋力への効果は、専門的な筋力トレーニングに比べれば落ちてしまいます。持久力においても、専門的なトレーニングよりは確実に落ちます。つまり、広い範囲の効果が狙えるトレーニングは、逆に個々の能力に対するトレーニング効果は低いと考えていいわけです。

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