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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

筋トレ効果を増強する成分とは、ドーピングの懸念も

第49回 筋肉を成長させるメカニズム(4)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

悪用が懸念される遺伝子ドーピング

 ドーピングの問題でいうと、現在最も危惧されているものが、遺伝子ドーピングでしょう。

 筋トレによる刺激で、筋線維そのものから筋肥大を促すIGF-Ⅰ(インスリン様成長因子-Ⅰ)という物質が分泌されます。このIGF-Ⅰは遺伝子治療の観点から注目されていますが、それがスポーツ界でも悪用されないかと懸念されています。というのも、IGF-Ⅰの遺伝子を組み込んだウイルスを筋肉に注射すると、トレーニングをしなくてもすごい勢いで筋肥大が起こり、筋力も増加します。しかも、その証拠物質は血中には現れず、副作用もありません。これはカニクイザルというサルを使った実験でも確かめられていて、ヒトにも応用が可能と考えられているのです。

 すぐにでも実現可能な段階になっている遺伝子ドーピングですが、そこで一番困った問題は、検出のしようがないこと。費用をかけてバイオプシー(生体材料検査)などを行えば判明する可能性もありますが、尿検査や血液検査では決して痕跡は出ないでしょう。倫理に反して遺伝子ドーピングを行う選手が出てきたら、もうまともな勝負は成り立ちません。考えるだけで恐ろしいことですが、そうなったら、競技スポーツはおしまいということになってしまうかもしれません。

筋トレによる刺激で、
筋線維そのものから分泌されるIGF-Ⅰが、
スポーツ界で悪用されないかと懸念されている。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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