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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

マラソン向きの筋肉は、生まれつきか?

第26回 トレーニングで筋肉のタイプが変わる可能性もある

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

それは真の変化といえるか?

 前述のクロニック刺激による実験について、少し補足しておきます。

 筋線維を刺激し続けることでII型がI型に変わったというのは事実なのですが、その筋線維を遅筋線維と断言していいのか? という問題が残っています。というのも、現在のところ、どこまで条件をクリアすれば遅筋線維で、どこまでクリアすれば速筋線維かという決定的な指標はなく、この実験においても正確には「本来II型であったものが、ほとんど完璧にI型の様相を呈している」といういい方しかできません。

 生まれつきII型で、現在もII型であれば、これはある意味、「血統書付きのII型」。しかし、生まれたときはII型だった筋線維がトレーニングによってI型に変化したという場合は、見た目は完璧にI型でも血統書はII型。ということは、筋肉への刺激が途絶えたらII型に戻ってしまうのではないか? と考えられるわけです。

 実際、動物実験では、筋を不活発にするとI型がII型に変わるという結果が出ています。これはII型の筋線維が増えるという解釈もされますが、もしかしたらその筋線維は、生まれ育ちがII型なのかもしれない。この問題は、まだ解明されていません。

遅筋線維が多いマラソン選手も、
必ずしも生まれつきそうだったという保証はなく、
長年のトレーニングのたまものである可能性もある。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

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 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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