筋線維タイプの移行は色に素直に表れる
筋線維の中に赤や白ではない、ピンク色をしたものもあります。これは、ほどほどにミオグロビンを含んでいるため、中間のピンク色になっていると考えられます。
前回の分類でいうと、タイプIが赤い筋線維、タイプIIxが白い筋線維、タイプIIaがピンク色の筋線維ということになります。
ヒトの筋線維は、タイプごとに1カ所に集まっているわけではなく、チェッカーボード状に存在しているため、「これは赤い筋線維」「これは白い筋線維」と、完全に色分けができるわけではありません。筋肉全体として赤っぽいかな、白っぽいかなという程度の違いです。
しかし、魚などは種類によって筋線維タイプの境目がはっきりしているものもあります。例えばブリの切り身を見ると、赤い部分と白い部分とが完璧に分かれていますが、あれもヒトと同じで赤い部分が遅筋線維、白い部分が速筋線維です。また、魚の筋肉の生理学では、昔から「ピンク筋」という用語が使われていました。白筋、赤筋、ピンク筋という分類が伝統的に行われていたのです。それくらい、魚の筋線維はタイプが明確に分かれているといえるでしょう。
前回でも少し説明したように、筋線維タイプはトレーニングやディトレーニングによって、ほかのタイプに移行することがあります(詳しくは次回以降に説明します)。そして、どの程度の筋線維タイプが変化したかというのは、色に素直に表れます。
前述のブリの場合、日本食で普通に食べられている養殖ものは、白みが強く脂が乗っています。これは速筋線維が豊富だからです。それに比べて、高級食材と考えられている天然もののブリは、少しピンクっぽい色をしています。これは広い海をよく泳いでいるために、筋肉がしっかり使われて、ミオグロビンやミトコンドリアが増えている状態。つまり、遅筋線維方向への移行が進行した状態なのです。
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