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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

スピードが速くて持久力もある筋肉は?

第24回 筋肉のタイプを3つの方法で分類する

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

 かつてのタイプI、タイプIIa、タイプIIbは、おおむねMHCI、MHCIIa、MHCIIbに対応しています。この4つの分類が最近のコンセンサスです。一時期はさまざまな情報が入り乱れて複雑化していましたが、このタンパク質に基づく分類によって、ずいぶん話がシンプルになってきました。

 ただし、ヒトの筋線維を調べてみると、MHCIIbはほとんどないことがわかりました。その代わり、IIxがたくさんあるのです。かつてIIbと呼ばれてきたものは、現在の選別法ではほぼIIxと考えていい。つまり、ヒトの場合はIとIIa、IIxの3つを中心に考えていけばいいということになります。一番スピードが速くて持久力のない筋線維はIIx。スピードと持久性とを兼ね備えている筋線維がIIa、一番遅い筋線維がIです。

 さらに研究が詳細に及ぶと、いくつかのタイプを併せもっている筋線維があることがわかってきました。例えば、速筋線維のなかにはIIaとIIxの両方をもっているものがある。これは“移行途中”のものであると思われます。IIxからIIaへ移行しつつある状態で、たまたまタンパク質が半々くらいの状況になっているのでしょう。

 前述の染色法では、そうした移行途中の筋線維がさまざまな方法によって染め分けられてしまったため、いろいろなタイプの筋線維が現れてしまったのだろうと現在は考えられています。

 筋線維タイプの移行は、トレーニングやディトレーニングなどによって起こります。動物実験ではIとIIの間での移行も起こるという研究結果が報告されていますが、今のところ、ヒトで同様のことが起こるかは明確ではありません。

一番スピードが速くて持久力のない筋線維はIIx。
スピードと持久性とを兼ね備えている筋線維がIIa。
一番遅い筋線維がI。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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