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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

筋トレには、どのくらいの負荷をかければいいのか

第22回 筋肉を鍛えるには最大筋力の5~6割の負荷が必要

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

筋トレに負荷が必要な理由

 サイズの小さな運動単位というのは、主に遅筋線維の運動単位です。そして、速筋線維であればあるほど運動単位のサイズは大きくなります。つまり、サイズの原理をいい換えると、力を発揮していくときはまず遅筋線維から使われ、速筋線維は後回しになるという仕組みがある、ということになります。

 遅筋線維は酸素を使うことによって、スピードは遅いものの、効率的にエネルギーを生産するシステムを使っています(有酸素性代謝)。一方、速筋線維はスピードがあって大きなパワーも生み出しますが、効率は悪い(無酸素性代謝)という特性があります。ですから、大きな力を出す必要がない場合には遅筋線維を使ったほうが、身体全体として省エネになる。やむを得ず大きな力を出すときだけ、速筋線維を使えばいいわけです。

 日常生活での筋力発揮レベルは、せいぜい最大筋力の20%程度。走ったり跳んだりといった特別な動作をしない限り、それ以上の力は必要ありません。そのような普通の生活をしているときは遅筋線維しか使われず、速筋線維はほとんど怠けているという状態になっています。

 トレーニングにおいても、軽い負荷(最大筋力の30%程度)を使っている場合にはほとんど遅筋線維しか使われていません。速筋線維を使うには、少なくとも最大筋力の50%以上(65~70%1RM)が必要です。そしてトレーニングによって太くなるのは圧倒的に速筋線維。だから、普通のトレーニングで筋肉を鍛えて太くするためには少なくとも最大筋力の5~6割を発揮できる負荷がなければなりません。トレーニングの負荷の原理原則も、運動単位の特性に関連しているというわけですね。

マラソンや中距離走などは同じように走っているように見えても、
実は時間帯によって筋肉の違う部分を使っているらしい。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

 日経Goodayのサイトでご紹介している「“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学」の連載が本になりました。

 筋肉の基本的な仕組みから、理想的なトレーニング方法まで、専門的に解説。

 全国の書店、またはベースボール・マガジン社サイトでお買いお求めください。

こちらからでもご購入いただけます
ベースボール・マガジン社 商品検索&販売サイト


この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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