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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

片側ずつ交互に鍛える“ユニラテラルトレーニング”を取り入れるコツ

第43回 バイラテラルとユニラテラル(後編)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

スポーツ選手にはユニラテラルトレーニングも大切

 では次に、ユニラテラルトレーニングのメリットについて考えてみましょう。

 多くのトレーニングにおいて、バイラテラルのほうがユニラテラルよりも動作の制約が大きくなります。例えばベンチプレスマシンでは背もたれに背中を固定した状態でバーベルを動かすので、使われる筋肉も限定的になってしまいます。

 一方、ダンベルやオルタネート(交互)でプレス動作ができるベンチプレスマシンでユニラテラルのプレスを行うと、体幹の回旋や肩甲骨の動きなども利用しながら負荷を上げることになるので、バイラテラルよりも自由度が高くなります。また、これは実動作に近い動きということもできます。大胸筋を鍛えるという目的のためにはバイラテラルのほうが適していますが、スポーツで両腕同時にプッシュする場面はほとんどありません(相撲の諸手突きなどはありますが)。ということは、スポーツの動きを養うトレーニングとして考えた場合は、ユニラテラルのほうが適しているといえるのです。

 ジャンプ動作も同様。バイラテラルで強く地面を蹴るシーンは、バスケットボールのシュートの一部、バレーボールでブロックをするときなどで、あまり多くはありません。それよりも助走をつけて片足でジャンプするケースのほうがはるかに多いでしょう。また、走る動作も左右交互にジャンプを繰り返しているのと同じですから、ユニラテラルな筋力発揮の連続になります。このように、スポーツの動きはユニラテラルが基本ですから、バイラテラルなトレーニングだけでは、むしろ動作への対応性が落ちてしまうことも考えられます

 ウェイト・トレーニングの主要種目はバイラテラルがメインになりがちですが、スポーツ選手はユニラテラルも積極的に取り入れていくことが大切でしょう。

ユニラテラルトレーニングの注意点

 最近のトレーニング界には、マシンにもなるべく自由度をもたせ、たくさんの筋肉を総合的に使えるようにしようという方向性があるようです。より実動作に近づけることが目的と考えられます。例えばプレスマシンでも、バイラテラルとユニラテラルの両方のトレーニングを行えるものが増えてきました。ですから、ユニラテラルトレーニングに取り組みやすい環境になってきているといえるでしょう。

 そのようなマシンでユニラテラルトレーニングを行う場合、通常はオルタネートになると思いますが、オルタネートには片方を上げているときに片方の筋肉が休んでしまい、レップ間のインターバルが長くなるという欠点があります。そのことを考慮し、回数を増やしたり、スピードを高めたりするような工夫も必要になってくるかもしれません。

 もう1つの注意点は、負荷を重くしすぎないこと。身体の片側に荷重がかかるユニラテラルトレーニングは、負荷が大きくなるとケガの危険性が高くなるからです。ベースの筋力を鍛えたいときはバイラテラルな種目を選び、その上でユニラテラルを上手に活用してパフォーマンスアップを狙えばいいと思います。

スポーツの動きはユニラテラルが基本。
バイラテラルなトレーニングだけでは、
動作への対応性が落ちてしまうことも考えられる。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
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『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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