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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

片側ずつ交互に鍛える“ユニラテラルトレーニング”を取り入れるコツ

第43回 バイラテラルとユニラテラル(後編)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

 “筋肉博士”石井直方先生(東京大学教授)が、筋肉のメカニズムや機能を毎回わかりやすく解説していきます。今回も、「両手・両足で同時に行うトレーニング」(バイラテラル)と「片手・片足ずつ交互に行うトレーニング」(ユニラテラル)の違いについて見ていきます。
 前回は、「普段のトレーニングではバイラテラルトレーニングを重視すべき」と書きましたが、実際のスポーツの動作の多くはユニラテラルです。バイラテラルだけでは、むしろ動作への対応性が落ちてしまうことも考えられます。

バイラテラルトレーニングでも左右対称を意識するべき

ダンベルなどを使うと、体幹の回旋や肩甲骨の動きなども利用しながら負荷を上げられるので、バイラテラルよりも自由度が高くなる。(©Wavebreak Media Ltd-123rf)

 前回はバイラテラル(両側性)トレーニングとユニラテラル(一側性)トレーニング、そしてバイラテラルディフィシット(両側性欠損。両側性の筋力発揮をしたときは、片側ずつの足し算よりも合計が小さくなるという現象)について説明しました。

 両側性欠損について、少し補足しておきましょう。かつて私の研究室にいた小林雄志君という学生(現在は立命館大学 講師)が、スクワットを行ったときの筋力の左右非対称性を調べる実験を行いました。地面からの反力を測る“フォースプレート”の上で被験者にスクワットをさせ、左右それぞれでどのくらいの力を発揮しているのかを測定しました。すると、度合いの差はあったものの全員に左右非対称性が表れ、それは負荷が重くなればなるほど顕著になる傾向があることがわかりました。

 前回、「ユニラテラルトレーニングは左右非対称性を増悪させる危険性がある」と書きましたが、スクワットのような両側性のトレーニングでも非対称性は表れてしまうのです。そして、その状態を放置していると、トレーニングのときだけではなく、スポーツの場面で障害の危険性が上がってくることもわかってきました。

 つまり、バイラテラルトレーニングであっても、常にフォームや力の出し方などに注意を払いながら行ったほうがいい、ということになります。フォースプレートなどを利用できればベストですが、それは高価すぎますし、置き場にも困るので、現実的には目の肥えている人にチェックしてもらったり、鏡を見ながら自分で修正したりするしかないでしょう。スクワットやベンチプレスのようなシンプルな動作であれば、どちらか一方に傾いていたり、体重がかかっていたりすると視覚的にもわかります。微妙なブレをしっかり確認し、なるべく左右対称になるように意識することが、ケガ防止の第一歩だと思います。

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