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“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

左右の筋肉がアンバランスだと感じる人のトレーニング法

第42回 バイラテラルとユニラテラル(前編)

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

トレーニングとして望ましいのはどっち?

 ということは、左右それぞれの筋肉を最大限に鍛えて強くすることが目的の場合、一方の筋肉をフルにトレーニングし、もう一方の筋肉も同じようにトレーニングすればいいのでしょうか。つまり、上腕二頭筋を強くするにはバイラテラルなバーベルカールをするより、ユニラテラルなダンベルカールを行ったほうがいいのでしょうか。

 確かに、そうすれば1 回の筋力発揮能力は高まるかもしれません。ただ、ここで問題となるのは、左腕と右腕の筋力が微妙に違う場合(ほとんどの人がそうだと思います)です。それぞれダンベルカールでトレーニングすると、左でできる回数と右でできる回数が違ってしまいます。あるいは、左で扱えるダンベルと右で扱えるダンベルが違ってしまうケースも考えられます。そうなると、結果的に左右の非対称性をどんどん増悪してしまうという危険性もあります。それを避けるためには、やはり必然的に弱いほうの筋力に支配されるバイラテラルのほうが望ましいといえるでしょう。

 また、ユニラテラルは(種目にもよりますが)、どうしても身体の片側にだけ重たい負荷がかかるため、トレーニングを行っている箇所以外にストレスがかかってしまうということもあります。その結果、フォームそのものが非対称になってしまい、それが原因でどこかを痛めてしまうということも考えられます。

両側性欠損はバイラテラルトレーニングで低減できる

 両側性欠損は、バイラテラルトレーニングをすることによって低減することも可能なようです。

 これについては、オーストラリアのグループが、ボートのトップ選手を使って実験を行っています(下図)。ボートの選手は両足でプレートを押しながら、両腕でオールを引くという運動を日常的に行っています。つまり、競技動作のパターンそのものがバイラテラルです。

図 ボート競技選手に見られるバイラテラルディフィシットの低減
ボート競技選手にレッグプレスを両側と、左右片側ずつ行わせ、それぞれの最大筋力を測定。競技レベルが高い選手ほど両側性動作での筋力低下のレベルが低くなり、国際レベルの選手は両側性での筋力発揮がむしろ左右の筋力の合計を上回ることがわかる。(Secher、1975 より改変)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで彼らに両足と片足でそれぞれレッグプレスをさせたところ、両足で行ったときにほとんど筋力が下がりませんでした。両側性欠損の度合いが非常に小さかったのです。この実験からもわかるように、バイラテラルの大きな特徴は、左右の不均衡を均一にすることだといえるでしょう。

 一方、ランニングなどは左右の手足を交互に動かすため、運動のパターンとしてはユニラテラルな連続運動ということになります。このように「片方が強い力を出しているときに、もう片方が違うパターンの力を出しているか、緩んでいる」という運動を専門に行っている人は、両側同時に力を出す能力が落ちてくる。つまり、両側性欠損が大きくなるということも考えられます。

 ですから、普段のトレーニングでは、まずバイラテラルトレーニングを重視するべきです。特に左右の筋力がアンバランスだと感じている人は、両側性のバイラテラルトレーニングを意識的に増やしたほうがいいでしょう。

バイラテラルトレーニングには、
左右の不均衡を均一にする
という大きな特徴がある。


(構成:本島燈家)

石井直方(いしい なおかた)さん
東京大学教授
石井直方さん 1955年、東京都出身。東京大学理学部卒業。同大学大学院博士課程修了。東京大学教授(運動生理学、トレーニング科学)。理学博士。力学的環境に対する骨格筋の適応のメカニズム、及びその応用としてのレジスタンストレーニングの方法論、健康や老化防止などについて研究している。日本随一の筋肉博士としてテレビ番組や雑誌でも活躍。著書は『筋肉まるわかり大事典』『トレーニング・メソッド』(ともに小社刊)、『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など多数。
“筋肉博士”石井直方先生の連載が1冊になって好評発売中!
『石井直方の筋肉の科学』
B5判、140ページ、1500円+税 発行/ベースボール・マガジン社

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この記事は、ベースボール・マガジン社「コーチング・クリニック」からの転載です。

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