日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > スポーツ・エクササイズ  > “筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学  > 筋肉の動きは「0か1か」のデジタル型だった!
印刷

“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

筋肉の動きは「0か1か」のデジタル型だった!

第20回 信号を受ければ力を発揮し、信号がなければ何もしない

 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)

“筋肉博士”石井直方先生(東京大学教授)が、筋肉のメカニズムや機能を毎回わかりやすく解説していきます。今回のテーマは、筋肉がどのようにコントロールされているかです。筋肉の活動は、「信号があれば活動する」「信号がなければ活動しない」という2通りしかありません。コンピュータと同じように「0か1か」のデジタル型なのです。

全か無の法則

 筋肉の活動が運動単位によって行われることは、前回までに説明してきました。今回は、その運動単位が身体の中でどのように働き、筋線維がどのように制御されているかという話をしていきましょう。骨格筋の運動単位の活動は、基本的には『全か無の法則』に従っています。いい方を変えると「0か1か」という2通りしかない。つまり、力を発揮するか、おとなしく何もしないか、です。

筋線維は活動電位を発すれば活動するし、発しなければ活動しない。コンピュータと同じように0か1かという、デジタル型の制御を受ける(©lassedesignen-123rf)

 なぜ、そうなっているのでしょうか。

 神経細胞や筋線維は、細胞がもっている電位が変化することで活動します。活動電位を発すれば活動するし、発しなければ活動しない。活動電位の大きさそのものは変化しないため、微妙な調整はできません。だから、コンピュータなどと同じように0か1かという、デジタル型の制御を受けることになるわけです。

 活動するときには、まず筋線維の中にある筋小胞体という器官からカルシウムイオンが放出されます。このカルシウムイオンが筋線維を収縮させるスイッチ系に働き、筋収縮がオンになるという仕組みになっています。この骨格筋の性質は、スポーツシーンやトレーニングにおける筋肉の働きを考える上で重要なキーワードになってきます。

 自律神経などの作用によって、全か無の法則は若干変化する可能性があると考えられています。しかし、それは特別なケースで、基本は「全か無」「0か1」。まずはこのことを覚えておきましょう。

単収縮と強縮

 なんだ、そんな単純なことなのかと思った人もいるかもしれません。しかし単純なのは、あくまで運動単位そのものの活動。これが筋線維の発揮する力、という問題になると少々複雑になってきます。

 活動電位が1回発揮されると、それが信号として筋線維に伝えられ、筋線維も1回だけ短く収縮します。これを単縮または単収縮(twich)といいます。これは実験などで筋肉に電極を当て、短い電気刺激を1度だけ送ったときに起こる反応で、意志に基づく本来の筋収縮とは別のものです。

 前述した全か無の法則に従って、単収縮のときも筋線維はほぼフルに活動しています。ただ、筋線維の周囲には腱のように、筋肉の収縮によって引っ張られ、収縮を緩める働きをする構造があります。ですから筋線維が1回だけ短く収縮しただけでは、その力のすべては骨の末端まで伝わりません。一瞬、小さな力がポンと出るかもしれませんが、筋力発揮と呼ぶには程遠いものといえるでしょう。

 では、いわゆる筋収縮が起こるときはどんなことが起こっているのかというと、10~100ヘルツの頻度で繰り返し活動電位が発揮されています。このように何度も電位の変化が起きてくる状態を活動電位のトレインといい、この収縮を強縮(tetanus)といいます。

 単収縮とは違い、強縮では連続的に筋線維が収縮するので、腱も十分に引っ張られて大きな力が骨の末端まで伝わることになります。

1/2 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

スポーツ・エクササイズカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

  • 早期発見、早期治療で治す「大腸がん」 適切な検査の受け方は?

    日本人のがんの中で、いまや罹患率1位となっている「大腸がん」。年間5万人以上が亡くなり、死亡率も肺がんに次いで高い。だがこのがんは、早期発見すれば治りやすいという特徴も持つ。本記事では、大腸がんの特徴や、早期発見のための検査の受け方、かかるリスクを下げる日常生活の心得などをまとめていく。

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツ

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.