日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 皮膚科専門医 山本綾子の解決!オトナの皮膚病・肌トラブル  > 腹筋と湿疹部位の意外な関係  > 2ページ目
印刷

皮膚科専門医 山本綾子の解決!オトナの皮膚病・肌トラブル

腹筋と湿疹部位の意外な関係

【アトピー発症機序理論3】

 山本綾子

ホテルマンに学ぶ!? きれいなお辞儀の仕方=正しい体の折り曲げ方

 では、下を向くときは一体どこで曲げれば、体に負担が少ないでしょうか? もう1度、体の骨格を見てゆきましょう。

 首から腰までは積み木を重ねたような脊椎。頚椎~腰椎。その下に骨盤、そして股関節を挟んで、下肢の骨があります。折りたたみ式携帯電話の蝶番部分が、体では股関節に当たります。そうですね! 携帯電話を開け閉めするように、股関節を中心に体を曲げれば何の問題もないのです。

 デパートのエレベーターガールやホテルマンのきれいなお辞儀を思い浮かべてください。横から見ると、背中が真っ直ぐで腰の部分は曲がっていません。このとき、体はどこで曲げていますか? そうです、股関節です。きれいなお辞儀の仕方は、実は体にとって最も自然な下の向き方だったのです。

 この下の向き方は、立っているときだけでなく、座っているときも同様です。デスクワークや食事など、何度も下を向くとき、これに注意すると首や肩、腰がとても楽になります。

武道の座礼から体本来の使い方を学ぶ

 座ったままの下の向き方で、最も理想的な形は、武道の座礼です。正座の状態でお辞儀をする座礼は、手を太ももの股関節そばに当て、股関節から体を曲げ、背中はまっすぐというスタイル。イメージしやすいのはテレビドラマなどで見る「武士のお辞儀」でしょうか。このお辞儀の仕方は、身体機能的には自然に逆らわない、最も不要な力を使わない体本来の使い方です。

 股関節近くに手を当てるとき、手は八の字に向きます。肩は前に出ることなく、胸は軽く広がります。そのため、空気が吸いやすく、深い呼吸がしやすい状態となります(猫背のとき、肩が前に出て、胸は縮まり、呼吸が浅くなります)。

 両足は軽く開き、その隙間にお腹が挟まる感じで、上半身の重みを地球の重力に従って身を委ねるような気持ちでゆっくりと股関節から上体を倒してゆきます。このとき、お腹が軽くパーンと張っていることが感じられるでしょうか? 言い方を変えれば、胸からではなく、お腹から上体を倒す感じです。このときお腹に感じた力こそが「腹圧」であり、アトピーの患者さんや顔や体にしつこい湿疹を繰り返す方が背骨をまっすぐ保つために必要な力です。

本当に必要な“腹筋”とは腹を膨らます力

[画像のクリックで拡大表示]

 姿勢が悪い人は、腰椎が真っ直ぐではありません。腰椎は前(お腹)側からの腹圧と、後ろ(背中)側からの力が等しくなったとき、まっすぐに保たれます。お腹の谷折り線がある人は、腹圧が弱く、お腹が折れ曲がり、背中が丸いという、いわゆる猫背です。

 逆に猫背にならないよう背筋をピーンと張ろうとする「反り腰」(もしくは「出っ尻」)は、腹圧をかけずに背中を丸めないように腰を反ってしまうもの。一見、お尻が出て、セクシーに見えるのですが、お腹ではなく腰に力を入れているため、腰痛になりやすく、体に負担がかかります。

 図を見ていただくと分かるように、正常な状態だと腹圧がかかり、腰が前に出過ぎないよう、背骨をまっすぐ保ちます。腹圧が足りないと反り腰になり、お腹や腰が前に出過ぎてしまうのです。腰を触ったとき、水がたまりそうなほどへこんでいる人は、痩せているなどの体型に関係なく、反り腰ということです(正常だとほぼ真っ直ぐです)。

 腹筋というと「お腹を凹ます力」と思いがちですが、本当は内臓が潰れないように「お腹を膨らませる力」です。

 空気で膨らんだ風船をイメージしてください。風船がパーンと張っているのは、中から広げる力が働いているからです。人間の体も同様に、内臓が潰れないようにお腹を膨らませる力が必要なのです。胸部は肋骨という骨で肺などの臓器が守られていますが、腹部には骨がありません。腹部は、腹筋が内臓を守っているのです。

腹筋不足→猫背や反り腰→肩甲骨付近や腰に負担→筋肉硬化→湿疹

 本題からずれているように思えたかもしれませんが、ここで今回のテーマ、背中や腰のかゆみに話を戻しましょう。

 猫背になると、お腹を潰し、腰が出っ張り、肩甲骨部位も丸く出っ張ってしまいます。そのため、それらの部分は本来の位置からずれているため、筋肉に負担がかかり、筋肉が硬くなるため、血流が悪くなり、出っ張っている腰や肩甲骨部位がカサカサしたり、湿疹ができたりします(参照記事)。

 また反り腰の場合、腰に負担がかかるため、猫背とは反対に腰自体はへこんでいますが、やはり腰の筋肉が硬くなり、同じように湿疹ができます。

 背中や腰に湿疹を繰り返す人は、まず自分の姿勢、体の使い方を見直してみてください。実は無理のかかる体の使い方をしているはずです。

 次回は、「脂漏性皮膚炎、顔や頭の湿疹」について解説します。

山本綾子(やまもとあやこ)
皮膚科専門医
山本綾子(やまもとあやこ)

金沢大学医学部卒業後、金沢大学皮膚科学教室入局。多くの重症アトピー性皮膚炎の治療経験から、湿疹の出る部位と姿勢・歩き方の関係に気づき、「アトピー発症機序理論」と「運動療法」を導き出す。現在、「治らない病気」とされてきたアトピー性皮膚炎を「根治できる病気」として、全国から集まる患者を、改善・根治に導き、アトピー撲滅をライフワークとしている。

病院外でも、アトピー発症機序理論の勉強会・運動療法のワークショップを実施。これまでに東京をはじめ日本全国で開催。

オフィシャルブログは「皮膚科専門医 山本 綾子 のアトピー撲滅プロジェクト」 、Facebookページは、「現役皮膚科医が教える、アトピー卒業の方法

日経トレンディネット2014年2月28日付け記事からの転載です。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.