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皮膚科専門医 山本綾子の解決!オトナの皮膚病・肌トラブル

その歩き方で大丈夫? 脛・踵が荒れる原因とは

【アトピー発症機序理論2】

 山本綾子

筋肉はポンプ機能を担う

 心臓から送り出された血液は、動脈を通り、枝分かれをして細い毛細血管となり、栄養素や酸素を全身の各細胞に運びます。その後、血液は静脈を通り、各部で生じた老廃物と二酸化炭素を回収し、心臓に戻ります。これはみなさんご存じの通りのことですね。

 心臓というポンプにより血液は血管を流れるわけですが、心臓に対して人体はなかなか大きく、手足や皮膚といった体のすみずみにまで十分に血液を流すためには、体を動かして全身の筋肉を使い、心臓のポンプ機能を補助する必要があるのです。

 ホースの中に、水が溜まっている状態をイメージしてください。そのホースを足でふみつけると、ホースの中の水は「ぴしゃ」っと出てきます。これを体に置き換えると、ホースは血管、ホースの中の水は血液、踏みつける行為が筋肉を動かすということになります。外側から力をかける(ホースを踏む=筋肉を動かす)ことで、内側を通る液体が動くわけです。

 筋肉を動かすことは、ポンプとしての役割を果たすことに加え、筋肉自体が発熱するという作用もあります。激しい運動では筋肉自体が発熱の要素が強く、ストレッチなどの軽い運動では血液が流れる要素でじんわりと温かくなる要素が強いように思います。例えば寒いときに、脈が上がるほどの運動ではないのに、ストレッチなどで体が温まるのは、体を動かすことで、ポカポカと温まるのは、このためです。

正しく歩くことこそ、筋肉ポンプを働かせるための最適な方法

 私たちは食事から栄養や水分を摂取し、健康的な生活を送っています。その栄養や水分は、血液によって皮膚にまで届けられ、さらに血液が老廃物を回収することで、ようやく「カサカサすることなく、水分を保った健やかな皮膚」が維持できます。どんなにバランスのとれた食事をしていても、血液が正常に循環していなければ、皮膚は不健康な状態に陥りやすいのです。

 この血液の正常な循環のために、筋肉がポンプとなり活躍しています。血液は重力に従い下方(下肢)に溜まります。下方に溜まった血液を重力に逆らって心臓に戻すためには、筋肉をポンプとして働かせる必要があります。筋肉がポンプとして働く、日常生活の中で誰もがする動作こそが「下肢の筋肉を動かす=歩くこと」なのです。

踵のガサガサの原因は?

Wikimedia Commonsより
[画像のクリックで拡大表示]

 ところで前述の「地面を蹴る」という動きは、「足首を曲げたり伸ばしたりする」動きと同じです。

 足首を曲げたり伸ばしたりしながら、ふくらはぎに手を当ててみてください。ふくらはぎが動いているのを感じますよね? 「地面を蹴り、衝撃を逃す」という動きは、このふくらはぎを動かして「下肢に溜まった血液を心臓に戻す」役割も果たしています。よく、「ふくらはぎは第2の心臓」と言われるのは、このためです。

 さてここで、「踵のガサガサ」の種明かしをしましょう。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)はアキレス腱となって踵の骨に付着しています。ですから「踵部分を動かすこと=ふくらはぎを動かすこと」になります。

 つまり、水虫ではなく、乾燥で踵がガサガサする人は、「地面を蹴る」動作がしっかりできていないのです。実際、私も子どもの頃、よく踵がひび割れて痛かったのですが、正しい歩き方をマスターした結果、薬をつけなくても踵がつるつるになりました。もちろん、足が冷えることもなくなりました。

皮膚のカサカサから「体の使い方」の誤りに気付く

 皮膚科医として診察する中で、カサカサするという訴えを患者さんから聞かない日はありません。西洋医学では、乾燥は保湿剤を処方することになっています。しかし、どんなに保湿剤を塗っても、多くの人は保湿剤を止めると、またすぐに乾燥してしまいます。

 しかし脛や踵のカサカサ解決に歩き方が関わっているように、「なぜその部位が乾燥するのか?」を考えると、「人間という動物本来の正しい体の使い方」こそが皮膚をしっとりと健康に保つためのポイントだと分かってきます。

 私が提唱する「アトピー発症機序理論」は、この体の正しい使い方から、皮膚トラブルに対峙する理論です。この理論に則り、次回は「姿勢」と「背中上部」や「腰」のかゆみの関係について解説します。

山本綾子(やまもとあやこ)
皮膚科専門医
山本綾子(やまもとあやこ) 金沢大学医学部卒業後、金沢大学皮膚科学教室入局。多くの重症アトピー性皮膚炎の治療経験から、湿疹の出る部位と姿勢・歩き方の関係に気づき、「アトピー発症機序理論」と「運動療法」を導き出す。現在、「治らない病気」とされてきたアトピー性皮膚炎を「根治できる病気」として、全国から集まる患者を、改善・根治に導き、アトピー撲滅をライフワークとしている。
病院外でも、アトピー発症機序理論の勉強会・運動療法のワークショップを実施。これまでに東京をはじめ日本全国で開催。
オフィシャルブログは「皮膚科専門医 山本 綾子 のアトピー撲滅プロジェクト」 、Facebookページは、「現役皮膚科医が教える、アトピー卒業の方法
日経トレンディネット2014年2月14日付け記事からの転載です。

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