その歩き方で大丈夫? 脛・踵が荒れる原因とは
【アトピー発症機序理論2】
山本綾子
近年、肌のトラブルを訴える人は増えている。乾燥することが多い冬や、花粉症のシーズンは「肌がかゆい」と皮膚科を訪れる人が増える一方で、「体質だし、乾燥肌だから仕方ない」とあきらめてしまう人も多い。とはいえ、かゆみや皮膚のカサカサ、ガサガサは不快で、日常生活にも少なからず支障をきたすもの。
こうした肌のトラブル、実は「体質ではなく姿勢にある」と、新たに「アトピー発症機序理論」を提唱するようになった、ナビタスクリニック川崎の皮膚科専門医、山本綾子先生(日本皮膚科学会専門医)が、さまざまな皮膚病・肌トラブルについて解説する連載。
2回目は、男性にも多い脛(すね)のカサカサや、踵(かかと)のガサガサの原因を探る。
皮膚の“三大かゆみ部位”1位は脛(すね)!?
皮膚科にかかる人で「カサカサしてかゆい」と訴えが多い場所。それが「脛(すね)」「背中上部」「腰」です。特に「夏は大丈夫だけれど、毎年冬になるとかゆくなる」と訴える人が多いのが脛なのです。そして下肢(脚)の中で、太腿やふくらはぎはそうでもないのに、脛ばかりがかゆくなるという人は、歩き方に問題があります。
歩き方が変だからって、そこばかりが擦れるわけでもないし、皮膚の乾燥に歩き方が関係しているとは思えない…と言う人ほどぜひ気にしてほしい、「体質」や「加齢」では説明できない「部位のナゾ」を、アトピー発症機序理論に基づき解説しましょう。
こんな歩き方は要注意!
特別な訓練を受ける人以外、歩き方を習った経験のある人はあまりいないと思います。体育の時間に、「歩き方」の授業があったという話はあまり聞きませんよね。
ここでまず、以下をチェックしてください。
1. 歩くときに靴が擦れる音がする(靴底・靴の側面同士が擦れる音)
2. 靴底の減りが早い
3. 靴底の減り方が外側だけ(もしくは内側だけ)早い
4. 足音に特徴があり「足音ですぐわかる」と他人に言われたことがある
5. 歩き方が非常に遅く、他人と歩いていると自分だけが遅れてしまう
6. 歩いているすぐに疲れてしまう
1つでも当てはまる人は、歩き方が間違っている可能性があります。
正しいのは、身体に最も負担の少ない歩き方
正しい歩き方のポイントとは何か。
そもそも「歩く」とは、足を前後に動かして前に進む動作のことです。うしろ足から前足に傾斜し、身体が倒れそうになるから、バランスを回復するために、また次の一歩を踏み出す。本来は、とても自然な動作です(行進などで見られるように、足を前方に高く上げて歩いたりする必要はありません)。
ところが、ただ歩くだけですぐに疲れてしまう、という人がいます。その原因を運動不足や急激な体重の増減などにだけ求めていると、なかなか解決しません。それは、正しい歩き方ができていないからなのです。
では正しい歩き方とはどういうものなのか。解剖学的な足の構造を考えながら見ていきます。
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- 股関節を支点に、踵から入り地面を蹴る