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皮膚科専門医 山本綾子の「解決!オトナの皮膚病・肌トラブル」

冬のカサカサ肌・かゆみ肌は悪い姿勢が原因だった!?

【アトピー発症機序理論1】

 山本綾子

アトピー発症機序理論にたどり着いたわけ

 この理論にたどり着くまでには長い年月がかかっています。私が研修医の頃、諸先輩方もアトピー患者さんは姿勢が悪いということを指摘しており、「アトピーは痩せ型猫背」という認識がありました。しかし痩せ型猫背ではない、どちらかというと太った人もいるわけです。2つのタイプに共通していたのは「姿勢が悪い」ことでした。

 あるとき、肩甲骨の周りだけ、いつまで経ってもよくならない入院患者さんに出会いました。ステロイドで全身良くなってきていても、その部分だけ薬の効き方が悪い。体全体をチェックしてみると姿勢が悪く、いわゆる典型的な猫背で肩甲骨あたりが出っぱっているほどでした。深呼吸してもらうと「胸が痛い」と言います。そこで姿勢が悪いよりは良いほうがいいだろうという気持ちで、「背中が曲がっている」ということを本人に伝え、正しい姿勢の保ち方を指導しました。すると、肩甲骨の出っぱりがなくなり、きれいな姿勢が保てるようになって、肩甲骨部の治りの悪い湿疹まで治ったわけです。

 なぜでしょう?

深呼吸で血流が改善(©Antonio Guillem/123RF.com)

 この患者さんの場合、長年呼吸が浅すぎて、胸周りの筋肉がガチガチになっていて、息を思い切り吸っただけで、大胸筋や、肋骨と肋骨の間にも筋肉が痛かったわけです。たくさん息を吸うと、胸郭が広がり、胸周りや背中の筋肉がゆるみます。でも呼吸が小さくなっていると、こうした筋肉が硬くなる。だから、深呼吸の練習を繰り返すうちに、筋肉が動くようになって血流も改善され、ステロイドを強くすることなく、治ったと考えられます。

 こうした症例を重ね、アトピー発症機序理論にたどり着き、実践していますが、理論は多くの症例からしか証明できていません。とはいえ突然思いついた“とんでも理論”ではなく、実はごく当たり前のことを実践していくための法則だと私は考えています。実際に、法則を当てはめることで、患者さんは確実に治癒してきています。

乾燥肌+慢性的な湿疹=皮膚科を受診

 さてここで、冒頭の話に戻ります。

 深呼吸をすると胸が痛い、腹部に横線が入っている、正しく立つことができていない、ふくらはぎが体の割に太く硬い(上半身が痩せている)という人で、肌がカサカサになっている人、かゆみ肌の人は、今すぐ皮膚科を受診するべきなのでしょうか?

 肌がカサカサしていて夜中にかゆくてかきむしってしまう、眠れなくなるなどの症状がある場合、一度受診したほうがいいと思います。カサカサ程度で受診してもいいのかな、と躊躇する必要はありません。かさつきやかゆみで生活に支障があれば、どうぞ皮膚科を受診してくださいね。

 以前にも解説したことがありますが、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインによれば、「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒(そうよう)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー性素因を持つ」 と定義されています。これを私流に説明すれば「もともと乾燥肌があって、慢性的に湿疹(しっしん)ができやすい状態だから、お手入れが必要」だということであり、この症状であれば受診してもまったくおかしくありません。

 まずはぜひ、ご自身の体の状態をチェックしてみてください。

山本綾子(やまもと あやこ)
皮膚科専門医
山本綾子(やまもと あやこ) 金沢大学医学部卒業後、金沢大学皮膚科学教室入局。多くの重症アトピー性皮膚炎の治療経験から、湿疹の出る部位と姿勢・歩き方の関係に気づき、「アトピー発症機序理論」と「運動療法」を導き出す。現在、「治らない病気」とされてきたアトピー性皮膚炎を「根治できる病気」として、全国から集まる患者を、改善・根治に導き、アトピー撲滅をライフワークとしている。
病院外でも、アトピー発症機序理論の勉強会・運動療法のワークショップを実施。これまでに東京をはじめ日本全国で開催。
オフィシャルブログは「皮膚科専門医 山本 綾子 のアトピー撲滅プロジェクト」 、Facebookページは、「現役皮膚科医が教える、アトピー卒業の方法
日経トレンディネット2014年1月23日付け記事からの転載です。

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