本コラムは薬剤師向け専門誌「日経ドラッグインフォメーション」2014年10月号「OTCトレンドウォッチ(NewProducts)」からの転載です。薬剤師向けの内容を、一部改編しています。 市販薬は、薬剤師や登録販売者に相談のうえで購入してください。
薬剤師の対面による情報提供および指導が必須な要指導医薬品が、相次いで発売されました。今回は、新たに登場した要指導医薬品の中から、「プレフェミン」について紹介します。

西洋ハーブのチェストベリー含有
プレフェミン(ゼリア新薬工業)は、市販薬(OTC薬)として日本初の月経前症候群(PMS)の治療薬です。有効成分はチェストベリーで、医療用医薬品として日本で使用されたことがない、いわゆる「ダイレクトOTC」(新有効成分含有医薬品)です。
PMSは、月経の3~10日前からイライラ、怒りっぽい、抑うつなど精神的症状、乳房の張り、頭痛などの身体的症状が表れ、月経が始まると消えていきます。黄体期の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動が関わっているとされています。
地中海沿岸地域などに自生するチェストツリーの果実であるチェストベリーは、ギリシャ・ローマ時代から婦人科系疾患の治療に用いられてきた西洋ハーブです。その働き(作用機序)の1つとしてドパミン受容体を刺激してプロラクチンの分泌を抑える作用が知られています。プロラクチンとは妊娠中、授乳初期に多く分泌されるホルモンで、エストロゲンとプロゲステロンの正常な分泌を妨げます。このプロラクチンの分泌を抑えることで、女性ホルモンのバランスを整えると考えられています。
日本では医療用医薬品としての使用経験はありませんが、チェストベリーは欧州薬局方などの公定書に収載され、品質、安全性および有効性が評価されています。
1錠中にチェストベリー乾燥エキス40mg(チェストベリー180mgに相当)が含まれています。成人女性18歳以上が使用でき、1日1回1錠を服用します。
1カ月以上服用を続けてみる
臨床試験では、服用期間が1周期(月経が始まってから次の月経が始まる前日までの期間)では64.2%、2周期では80.6%、3周期では91.0%でPMSの症状が改善しました。この結果から1カ月以上続けて服用するのが良いとされています。
ただし、1カ月程度服用しても症状が改善しない、あるいは症状が改善しても3カ月を超えて服用する場合には、医師に相談してください。また、月経周期に関係なく症状がある、症状が重く日常生活に支障がある、うつ病の診断を受けている、月経に関係なく乳房のしこりや張りがある、月経不順などの場合も、医療機関を受診しましょう。妊娠中にこの薬を使った場合の安全性は明らかにされていない(確立されていない)ため、妊娠に気付いた時点で服用を中止してください。
株式会社A.M.C代表取締役社長・薬剤師

(出典:日経ドラッグインフォメーション2014年10月号/記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)