本コラムは薬剤師向け専門誌「日経ドラッグインフォメーション」2015年7月号「OTCトレンドウォッチ(NewProducts)」からの転載です。薬剤師向けの内容を、一部改編しています。市販薬は、薬剤師や登録販売者に相談のうえで購入してください。
コートfシリーズ(田辺三菱製薬)は、年齢によって異なる皮膚のバリア機能に着目した皮膚治療薬です。コートfシリーズのラインアップは、「コートf MD」「コートf AT軟膏」「コートf ATクリーム」の3つ。
weakランクのステロイドを含む「コートf MD」
コートf MDは、「赤ちゃんにも使える」のが特徴です。皮膚が薄い乳児や、成人の顔面や陰部などの部位への使用に向いています。皮膚が薄いとバリア機能が低く、薬剤が浸透しやすいことがわかっています。そのため、外用ステロイドの分類では「weak」に入るプレドニゾロンが配合されています。効能・効果は湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、じんましん、しもやけなどです。
mediumランクのステロイドを含む「コートf AT」
もう1つのコートf ATは、小児より大きい人を対象とした、かゆみを我慢できない虫刺されやかぶれなどに適しています。ステロイドの分類では「medium」にランクされるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)、かゆみや痛みを感じる神経をブロックする局所麻酔薬のリドカインを含んでいます。効能・効果はコートf MDと同じ、湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、じんましん、しもやけなどです。
コートf ATは、軟膏とクリームの2タイプを展開しています。刺激感が比較的少ない軟膏、べたつかず患部に塗りやすいクリームと使い勝手で選ぶのも手です。
小児科では、乳幼児のあせもや虫刺されに弱いステロイドが処方されることがありますが、ステロイドの使用をためらう保護者が時々いらっしゃいます。ステロイドは炎症やかゆみを比較的速やかに鎮めて、早く治すことができるメリットがあります。あせもや虫刺されなどでは、早い段階からステロイドを正しく使い、掻き壊しによるさらなる皮膚トラブルを予防しましょう。
7日間以上の使用は避け、5~6日間使っても症状が改善しない場合は受診しましょう。また、患部に塗る量は添付文書を参考にし、わからないことは薬剤師や登録販売者に相談してください。
株式会社A.M.C代表取締役社長・薬剤師

(出典:日経ドラッグインフォメーション2015年7月号/記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
