本コラムは薬剤師向け専門誌「日経ドラッグインフォメーション」2015年1月号「OTCトレンドウォッチ(NewProducts)」からの転載です。薬剤師向けの内容を、一部改編しています。市販薬は、薬剤師や登録販売者に相談のうえで購入してください。
もうすぐ花粉症の季節がやってきます。エージーノーズアレルカット(第一三共ヘルスケア)は、従来のエージーノーズの処方に、抗炎症成分グリチルリチン酸二カリウムを新たに配合した製品で、点鼻薬(写真1)と点眼薬があります。
エージーノーズは、1997年にスイッチ化された抗アレルギー成分のクロモグリク酸ナトリウムを配合する市販薬として、日本で初めて開発された抗アレルギー薬です。
ケミカルメディエータ遊離抑制作用がある(アレルギー誘発物質の放出を抑え、アレルギー症状を緩和する)クロモグリク酸のほか、第1世代抗ヒスタミン成分(アレルギー症状を起こすヒスタミンの受容体結合をブロックし、くしゃみや鼻水を抑える)のクロルフェニラミンマレイン酸塩、交感神経のα1刺激作用により強い末梢血管収縮作用(鼻粘膜の腫れや充血を抑え、鼻づまりを改善)が持続するナファゾリン塩酸塩が配合されています。
今回、新たに配合されたグリチルリチン酸二カリウムは、抗炎症作用を持つ成分で、アレルギー反応による鼻の炎症を鎮めます。
点鼻薬では、清涼感のあるl-メントールや香料を配合した「すっきりクールタイプ(C)」、添加物にエタノールを含まずに染みにくい「さっぱりソフトタイプ(S)」、カルボキシビニルポリマーを添加してとろみを付けた「患部に留まるモイストタイプ(M)」の3種類が登場しました。いずれも配合成分は同じです。使い心地の好みによって選ぶとよいでしょう。
効能・効果は、花粉やハウスダスト(室内塵)などによる、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、頭重(頭が重い)といった鼻アレルギー症状の緩和。7歳以上から使用でき、1回当たり両方の鼻に1噴霧ずつ、1日3〜5回使用します。連続して使用する場合には、前回の噴霧から3時間以上空けてください。
使用後は眠気を催すことがあるので、乗り物や機械類の運転操作を避けてください。抗アレルギー薬を含む点鼻薬は使用効果を実感しやすい反面、使い過ぎるとかえってひどい鼻づまりを誘発する恐れがあります。用法・用量を守って使用しましょう。
なお、点眼薬や内服の抗アレルギー薬を併用しても問題はありませんが、抗ヒスタミン成分が重複するため、特に乗り物や機械類の運転操作は避けてください。
株式会社A.M.C代表取締役社長・薬剤師

(出典:日経ドラッグインフォメーション2015年1月号/記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)