皆さんは、診療ガイドラインをご存じですか? 診療ガイドラインとは、治療方法を選択するときに適切な判断ができるよう、患者と医療者を支援する目的で作成された文書のことです。科学的な根拠(エビデンス)を精査した上で、色々な立場の人の合意に基づいて、推奨(おすすめ)が示されています。診療ガイドラインの情報を医療者と共有することで、患者自身が主体的に最善の治療法を選ぶ手掛かりになります。
様々な診療ガイドラインを調べられる「Minds(マインズ)」
診療ガイドラインは、病気の治療マニュアルではありませんし、絶対に守らなければならないルールでもありません。診療ガイドラインで推奨されている治療法でも、患者全員にあてはまるとは言えませんし、逆に、診療ガイドラインに載っていない治療法は間違いだとも言えません。最終的にどの治療を選択するかは、あくまで個別に考えていく必要があります。
日本では1990年から、診療ガイドラインを整備する研究事業が国を挙げて本格化しました。中立的な立場でガイドラインの整備や情報提供が行えるように、日本医療機能評価機構にEBM医療情報サービスセンター(現:EBM医療情報部)が設置され、厚生労働省の科学研究費による研究事業として運営が始まりました。
EBMとはevidence-based medicineの頭文字で、根拠に基づく医療と訳されています。まさしく科学的根拠に基づき専門家が作成したガイドラインや文献を情報提供するための事業と言えます。2004年には医療情報サービス「Minds(マインズ:Medical Information Network Distribution Service)」の一般公開が始まり、2011年度からは研究事業から厚生労働省の委託事業へと変更して継続されています。
エビデンスのしっかりした医療情報をわかりやすく解説
Minds(http://minds.jcqhc.or.jp/n/)にどのような情報があるのか、具体的にご紹介します。
一般向けガイドライン解説
学会や研究会などが公表している、患者など一般の人向けのガイドラインが掲載されています。「がん」「脳・神経」「心臓と血管」「呼吸器」「消化器」といった18のカテゴリー別に整理されているほか、50音順で検索することも可能です。
ガイドライン解説は、分かりやすい言葉で、理解の助けになるような図や絵もふんだんに使われています。病気が判明して、治療方法について説明を受ける前に読んでおくと、ドクターの説明が理解しやすいのではないかと思います。説明を受けた後に読めば、理解をより深められるでしょう。
なお、ガイドライン解説には、下記の3種類があります(図1の表では左から3列目に種別が表示されています)。目的に応じて、使い分けるといいでしょう。
