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医療問題なぜなにゼミナール

第3回 診察室でのコミュニケーションは「双方向の努力」で

患者側のコミュニケーション能力向上も不可欠

 山口育子=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

患者の「思い込み」は誤解のもと

 医療者の説明を、誤って“思い込んでいる”患者が意外に多いことも問題です。同じ言葉でも、使う人によってイメージ・解釈が異なることはよくありますが(文化庁 平成25年度「国語に関する世論調査」)、医療現場でそれが起こると、トラブルに発展する危険があります。

医療者の説明を、誤って“思い込んでいる”患者は意外に多い(@UYORI/PIXTA)

 たとえば、「あなたのがんには、この抗がん剤がよく効きます」と言われたときを考えてみましょう。医療に関する知識がない人であれば、「9割ぐらいの確率でがんが消えてなくなると期待する」と解釈するのがふつうかもしれません。しかし、ドクターに聞いてみると、血液がんなど一部を除いて、よく効く(医学用語では“著効”)と判断するのはせいぜい3割程度の確率でがんが少し小さくなったレベルなのだそうです。このように、簡単な言葉であっても、医療者と患者とではイメージがかけ離れていることがあるのです。

自分が解釈した内容を言語化してみる

 こうしたギャップが埋められることなく治療が進んでしまうと、患者にとって治療が期待通りにならなかったときに、「こんなはずではなかった」という不信感に発展しかねません。それだけに、できれば思い込む前に、自分が受け止めたイメージに誤りがないかどうかを確認することが大切です。そのためにも、説明を受けたときに、自分が解釈した内容を言語化してみることをお勧めします。先ほどの例では、ドクターに「この抗がん剤がよく効きます」と言われたら、「効くということは、がんが消えてなくなるという意味でしょうか」と聞いてみるのです。解釈が誤っていたら、その場で修正してもらえます。

 さらに、感情的に話すことも避けたいコミュニケーションです。マイナス感情をあらわにすると、相手に伝わるのは、「怒っている」「腹立たしい」ことだけです。それでは医療者を身構えさせてしまうだけで、前向きで建設的なコミュニケーションにはなりません。患者には不安な気持ちがあるのは当たり前ですが、できる限り冷静に話をすることが、結局は、よいコミュニケーションにつながります。

【関連連載】
COML患者相談室
COML患者塾

山口育子(やまぐち いくこ)
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長
山口育子(やまぐち いくこ) 大阪市生まれ。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療の必要性を痛感していた1991年11月、COMLと出会う。「私たち一人ひとりが『いのちの主人公』『からだの責任者』。そんな自覚を持った『賢い患者になりましょう』をキャッチフレーズとした活動趣旨に共感し、1992年2月にCOMLのスタッフとして参加。創設者の辻本好子氏の死去により、理事長に就任。COMLでは、電話相談や各種セミナーなどを積極的に実施。このほか、厚生労働省をはじめとした各種検討会の委員としても幅広く活動している。

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