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医療問題なぜなにゼミナール

第12回 「健康サポート薬局」ってどんな薬局?

医療職種の縄張り争いをしている場合じゃないでしょう!

 山口育子=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

職種間の縄張り争いではなく、ワンストップサービスを

 出席がかなったその日の検討会のテーマは、報告書の作成に向けた論点整理でした。事前に目を通していた資料に、新たに設けられる薬局の定義として「かかりつけ薬局の基本的な機能を有することが必要ではないか」と書かれていたので、私は「必要どころか、それが最低限の条件。そこにさらなる健康づくり支援の機能がプラスされた薬局のはずなので、もう少し強い表現にすべき」と発言しました。さらに、「かかりつけ薬局という程度では、『“かかりつけ”を持ちましょう』という呼びかけで済まされる可能性が高い。せめて『薬剤情報提供、薬剤服用歴管理、疑義照会、残薬整理』といった具体的な役割を明記した方がよいのではないか」と、前から気になっていたことを述べました。

 一方、薬剤師以外の医療職構成員からは、「健康づくり支援薬局がまかり通ったら大変、という医療側の意見が多い。薬剤師は薬のことを一所懸命やってほしい。健康づくりは医師に任せてほしい」(医師)、「薬剤の服薬管理を一元的に行うのは医師。薬剤師は薬剤に関する知識の普及や相互作用のチェックをすればいい」(医師)、「健康に関する相談を薬剤師がやるのは不適格ではないか」(看護師)といった発言が相次ぎました。

 こうした発言を聞いているうちに、私のなかの戦闘モード(?)がスイッチオン! 私は、「服薬管理は医師で、服薬情報管理は薬剤師とおっしゃいますが、患者から見れば両方で管理して、それぞれ専門的な視点でチェックしていただくことが安全、安心につながります。ダブって管理してもいいと思うのです」「気軽に聞けるのが薬局という人がいるのなら、健康に関する相談をする場が薬局であってもいいのではないですか。薬局ですべてを解決しようと言っているわけではなく、必要に応じて受診を勧めたり、必要な機関を紹介したりするような対応ということなのだから、ワンストップ機能を持った相談先の一つが薬局であってもいいと思います」と反論しました。

「薬局で一般用医薬品を扱ってほしくない」

 これに対して、医師の構成員は、「そもそも受診を勧める判断をすること自体が医師の仕事であり、薬剤師に許されていないのではないか」とおっしゃり、さらには「薬局では一般用医薬品(処方せんを必要としない薬局で買える薬)を扱ってほしくない。(処方せんで出された薬を調剤するより一般用医薬品で代用できるものを勧めやすくするため)一般用医薬品を売ったほうが儲かる仕組みになっている」と、医療機関経営への影響を懸念するかのような本音が…。

 思わず反応して手を挙げ、「一般用医薬品は、第一類(リスクが高いと分類されている薬)だけでなく、第二類でも気をつけなければいけない副作用が生じている現状を考えると、健康づくり支援薬局(仮称)で一般用医薬品を扱い、きちんと必要な情報提供をして、お薬手帳にも記載していただきたい。患者の安全性に配慮した仕組みづくりにしていくことが大事ではないかと思います」と反論しました。

名称は結局……「健康サポート薬局」に

 時間が押して、残り5分ほどで意見を出すことになった名称についても、私が「分かりやすく、覚えやすいことが一番。“健康づくり支援薬局”でいいのではないか」と言えば、またもや医師側から「“薬の健康づくり支援薬局”と“薬の”を入れないと、他のことまで何でもやりますよ、となる」と言われたので、「“薬局”と付いているのに、わざわざ“薬の”と入れる必要はないのでは」と最後まで反論。いつにも増して頻繁に発言する検討会となりました。

 終了後、検討会を傍聴していた複数の方から、「いつも偏った意見に納得いかなかったけれど、今日は感じていたことを言ってもらえてスカッとした」「毎回、患者目線の欠けた議論だと疑問に思っていたので、今日はようやくバランスが取れた」と言っていただき、出席して発言した甲斐があったのかなと思っています。

 最終回は結論が出ず座長預かりに。最終回は別の会議を休んで出席したので、結論に至らなかったことは残念でした。その後、9月24日(木)に報告書が公表されました。名称は、何と「健康サポート薬局」に。う~ん、そんな名称、検討会では一度も出てこなかったんだけどな…。ま、要はこれからの中身づくりですから、と気持ちを収めることに致しましょう。

【関連連載】
COML患者相談室
COML患者塾

山口育子(やまぐち いくこ)
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長
山口育子(やまぐち いくこ) 大阪市生まれ。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療の必要性を痛感していた1991年11月、COMLと出会う。「私たち一人ひとりが『いのちの主人公』『からだの責任者』。そんな自覚を持った『賢い患者になりましょう』をキャッチフレーズとした活動趣旨に共感し、1992年2月にCOMLのスタッフとして参加。創設者の辻本好子氏の死去により、理事長に就任。COMLでは、電話相談や各種セミナーなどを積極的に実施。このほか、厚生労働省をはじめとした各種検討会の委員としても幅広く活動している。

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