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医療問題なぜなにゼミナール

第11回 インフォームド・コンセントの定着が“説明不足”を招いている

説明されているのに「聞いていない」となる理由

 山口育子=NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

結果として「聞いていない」になっている…

 しかし、改めて冷静に考えてみれば、医療にまったく素人である患者が、1時間も専門的な説明を聴き続け、そのすべてを頭で理解して、記憶に留められるはずがないのです。そのため、説明を受けたとしても理解できなかったことは、結果的に「聞いていない」となっている―。それが「説明不足」を訴える相談が今なお続く原因の大きな一つと受け止めています。

 一方、医療者は時間をかけて説明しているのですから、「きちんとインフォームド・コンセントを行っています」と胸を張ります。確かに、十分に説明される時代になりました。

 しかし、果たしてそれでインフォームド・コンセントが十分行われていると言えるのでしょうか。私はさらにもう一歩進めて、インフォームド・コンセントのためには、十分な情報に「患者の理解」が加わり、「情報の共有」に至ることが不可欠だと考えています。

説明を聞いたら患者も「質問」「確認」を

 情報の共有に至るためには、医療者に患者の理解をサポートしてもらう必要があります。口頭での説明は限界があるだけに、もちろん後で読み返して復習できる文書を添えることも大切な支援です。

 さらには、説明の際には「説明している途中で大切な内容だ、忘れてはいけない内容だと思ったら、どうぞ遠慮なくメモしてくださいね」といった一言も患者にとっては有益なサポートです。なぜなら、医療者の前でメモをとることは「やっかいな患者というレッテルを貼られるのではないか」「医療者に失礼ではないか」と躊躇している患者が、まだまだ数多く存在するからです。

 一方で、私たち患者の側も可能な範囲での努力が必要だと思います。まずは医療者の説明を聞いていて分からないことがあれば“質問”をすること。そして説明が終わった後は、自分が理解した内容を自分の言葉に置き換えて“確認”することです。自分の言葉で確認したときに、医療者から「その通りです」と言ってもらえるほど確かなことはありません。患者もコミュニケーション能力を高めることによって、情報の共有の半分の役割を担う努力をしましょう。

【関連連載】
COML患者相談室
COML患者塾

山口育子(やまぐち いくこ)
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長
山口育子(やまぐち いくこ) 大阪市生まれ。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療の必要性を痛感していた1991年11月、COMLと出会う。「私たち一人ひとりが『いのちの主人公』『からだの責任者』。そんな自覚を持った『賢い患者になりましょう』をキャッチフレーズとした活動趣旨に共感し、1992年2月にCOMLのスタッフとして参加。創設者の辻本好子氏の死去により、理事長に就任。COMLでは、電話相談や各種セミナーなどを積極的に実施。このほか、厚生労働省をはじめとした各種検討会の委員としても幅広く活動している。

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