誰もがいつかはお世話になる「医療」。ですが、自分や家族が病気になるまで、医療については特に関心がないという人も多いのではないでしょうか。医師との付き合い方や医療制度の動向まで、いざという時にあわてず、安心して治療を受けるために必要な知識をNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長の山口育子さんが伝授します。

医療と接点があるボランティアとしてまず思いつくのが病院ボランティアです。病院ボランティアの活動は、外来患者へのサポート(受診案内や移動の支援など)、日本語が不自由な人への通訳ボランティア、絵本の読み聞かせ、院内の植栽の世話など多岐にわたります。自分の得意分野を生かして、比較的短時間の活動が多いようです。
ただし、病院によって活動内容が違いますので、「ボランティアをしてみたい」と思ったら、前もって活動内容を確認しておくことをお勧めします。
同じ病気の患者が行うピア・サポート
最近では、病院ボランティア以外にも、(1)患者の自立支援、(2)医療の改善、(3)医療政策への提案―など、私たちが参加できる場が広がりつつあります。
(1)患者の自立支援には、前述の病院ボランティアに加えて、電話や面談による相談活動や、患者情報室のスタッフなどもあります。相談活動は、同じ病気の患者同士が行うピア・サポート(※)として、患者会などが行っている場合が多いです。同じ病気だからこそ分かり合えることも多く、経験に即した具体的な情報交換ができます。COMLの活動の柱である電話相談も、患者・家族の立場のボランティアスタッフが中心になって対応しています。
※ ピア[peer]とは同僚、仲間という意味。
患者情報室とは、病院に設置されている患者向けの図書室のことです。病気や治療方法、薬、検査など、医療にまつわるさまざまなことを自分で調べられるように、書籍や各種パンフレット、パソコンなどが備えてあります。2000年代以降、設置する病院が増えてきました。スタッフは、書籍の整理整頓や居心地のいい空間づくりに加えて、利用者のサポートを行います。そのとき、“御用聞き”で終わってしまうのではなく、利用者が自分の知りたい情報を自分で得られるよう、まさしく自立支援をしながらサポートすることが大切です。また、利用者のニーズを把握し、不足している資料はないか、どんな取り組みが必要かを考える役割もあります。
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