薬局の薬剤師にできることは?
私は、同じ薬剤師でも、病院の薬剤師と薬局の薬剤師とでは、存在感や役割がずいぶん異なってきているように感じます。
病院薬剤師は、チーム医療の必要性の高まりから、緩和ケアチーム、栄養サポートチームなどの一員として、直接患者にかかわる機会が増えてきました。日本病院薬剤師会が認定する専門薬剤師(がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染の5部門)が登場したり、臨床研究コーディネーター(CRC)として活躍したりする薬剤師もいます。薬剤師が病棟に出て薬の管理や薬剤情報提供などに従事することに診療報酬がついたこともあって、入院患者の薬の管理者として患者にその“姿”が見え始めています。
一方、薬局薬剤師に対しては、患者はあまり期待を抱いていないように感じます。電話相談に届く声も、「患者に向き合うより、医師に気を遣ったり、遠慮したりしているのが透けて見える」「質問しても明確な回答がなく『先生に確認してください』を繰り返すだけだった」というような内容がいまだに多いのです。患者自身が直接保管し、服用・使用するだけに、薬への関心が高い人は多いはずなのに、聞こえてくるのは「説明はいいから、早く薬を渡して!!」「薬局で病気のことをいろいろ聞かれたくない」という声です。
医薬分業率は全国平均で約6割に上り、県によっては8割以上が院外処方です。患者が保険薬局を利用する機会が格段に増えているにもかかわらず、薬局薬剤師への期待が高まらないのはなぜなのでしょうか。
私はその原因として、薬局薬剤師がどんな専門性を持ち、何を期待できるのか、役割と存在意義が理解できていないところにあるのではないかと思っています。この機会に上記のような薬剤師の役割について理解を深め、自分が飲んでいる薬の相談相手となるような「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」を探してみてはいかがでしょうか。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長
