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病気にまつわる数字の話

「がん死は増加も、死亡率は減少」の不思議

死亡率は、30年前の人口ピラミッドをベースに換算される

 北澤 京子=医療ジャーナリスト

30年前の人口ピラミッドをベースに換算

 年齢調整死亡率(直接法)とは、ある時点で実測された年齢階級別死亡率を、基準集団の人口で重み付けしたものです。現在、基準集団として用いられているのは、今から30年前(!)の1985年時点の年齢分布(1985年モデル人口)です。言い換えると、現時点での各年齢の死亡率が1985年に実現していたとしたらどうなるかを計算した数値が、年齢調整死亡率といえます。

 実際、粗死亡率で見ると、がんの死亡率はどんどん上昇していますが(図3)、年齢調整死亡率は減少しています(図4)。がん対策の効果を測定する指標としては、年齢調整死亡率が適しています。

図3◎ 主要死因別の粗死亡率の年次推移(1947年~2013年)
図3◎ 主要死因別の粗死亡率の年次推移(1947年~2013年)
[画像のクリックで拡大表示]
(出典:がんの統計 ’14)
図4◎ 主要死因別の年齢調整死亡率の推移 (1947年~2013年/右の縦軸は総数、左の縦軸は主要疾患別の単位)
図4◎ 主要死因別の年齢調整死亡率の推移 (1947年~2013年/右の縦軸は総数、左の縦軸は主要疾患別の単位)
[画像のクリックで拡大表示]
(出典:がんの統計 ’14)

 しかし、見方を変えれば、日本が将来的に1985年当時の人口ピラミッドに戻ることは、まず考えられません。それどころか、今後ますます高齢化は進行していきます。がんで亡くなる人も増えるはずです。「加速化プラン」で各種のがん対策に力を入れるとしても、高齢化の影響にはとうてい勝てないのです。

 「死亡率」は重要な指標ではあります。ただ、この数値が下がることで、がん死にまつわるさまざまな問題が解決するとは言い切れないことも、認識しておくべきかもしれません。

北澤 京子(きたざわ きょうこ)
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
北澤 京子(きたざわ きょうこ) 著書に『患者のための医療情報収集ガイド』(ちくま新書)、訳書に『病気の「数字」のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問』(日経BP社)など。(撮影:直江竜也)

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