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病気にまつわる数字の話

病気のリスクや治療のメリットを「見える化」して意思決定しやすく

脳梗塞を起こすリスクは点数化できる

 北澤 京子=医療ジャーナリスト

「5年生存率」「検査陽性」「基準値」「平均余命」「リスク」…。皆さんは、ニュースで見かける健康・医療関連の数字の意味を、正しく理解していますか? 病気にまつわる「数字」について、誤解しがちなポイントを分かりやすく解説するとともに、数字の読み方、解釈の仕方についても、わかりやすく説明します。

自分が病気になるリスクによって、病気を避けるために取るべき対策とメリットは異なります。(©ximagination-123rf)

 前回の本コラムで、年齢、性別、血圧値などを入力したら、今後10年間に心筋梗塞や脳卒中を起こす確率(=リスク)がどのくらいなのかを計算してくれるウェブサイト「循環器疾患リスクチェック」をご紹介しました(参照記事:これから10年間に、あなたが心筋梗塞・脳梗塞を起こす確率は?)。

 今回はそのリスクを知った上で、どうすればよいかについて考えたいと思います。自分が病気になるリスクがどのくらいかによって、病気になるのを避けるために取るべき対策(運動する、薬を飲むなど)も違いますし、対策を取ったことで得られるメリット(心筋梗塞にならずに済むなど)の大きさも違ってきます

 一般的に、自分がもともと持っているリスク(これをベースラインリスクという)が大きいほど、対策を取ることで得られるメリットは大きくなり、逆に、ベースラインリスクが小さいほど、対策を取ることで得られるメリットは小さくなります。極端なことを言えば、病気になるリスクがゼロの人にとっては、対策を取ることによって得られるメリットはゼロです(対策を取るかどうかにかかわらず病気にならないから!)。

脳梗塞を起こすリスクを事前に知る

 具体的な例を挙げましょう。不整脈の一種である心房細動の患者は、脳梗塞を起こすリスクが高まることが知られています。心房が小刻みに細かく動くことにより心房に血栓ができやすくなり、その血栓が脳に飛んで脳の血管を詰まらせてしまうからです。

 脳梗塞になるのを防ぐ目的で、ワルファリンなどの抗凝固薬の投与が行われます。しかし、心房細動の患者全員が脳梗塞を起こすわけではありません。脳梗塞を起こすリスクは、その人のベースラインリスクによって異なります

 ベースラインリスクをどれだけ持っているかで、脳梗塞を起こすリスクを推定するための指標もあり、代表的なものが下の2つです。

表1◎ CHADS2(チャズツー)スコア(※1)
危険因子点数
Ccongestive heart failure/LV dysfunction心不全、左室機能不全1
Hhypertension高血圧1
Aage≧7575歳以上1
Ddiabetes糖尿病1
S2stroke or TIA脳卒中または一過性脳虚血発作になったことがある2
合計0~6点
点数が大きいほどリスクが高い
※1 JAMA. 2001; 285: 2864-70.
表2◎ CHA2DS2-VASc(チャズツー・バスク)スコア(※2)
危険因子点数
Ccongestive heart failure/LV dysfunction心不全、左室機能不全1
Hhypertension高血圧1
A2age≧75 75歳以上2
Ddiabetes糖尿病1
S2stroke or TIA脳卒中または一過性脳虚血発作になったことがある2
Vvascular disease血管疾患1
Aage 65-7465歳以上74歳以下1
Scsex category(female)女性1
合計0~9点
点数が大きいほどリスクが高い
※2 Eur Heart J. 2010; 31: 2369-429.

 日本のガイドライン『心房細動治療(薬物)ガイドライン2013改訂版』では、CHADS2スコアで2点以上であれば(脳梗塞を起こすリスクが相対的に高いとして)ワルファリンや他の新しい薬による抗凝固療法を推奨しています。

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