がんで死ぬリスクは年をとるほど高くなる
筆者が興味を引かれたのは、将来、がんで死亡する確率に関するデータです。「統計」サイトのトップページから、「最新がん統計」をクリックすると、「2.がん死亡」の「5)がんで死亡する確率~累積死亡リスク(2013年データに基づく)」に、年齢別のデータが出ていました(表1)。
それによると、現在30歳の男性(赤の枠)が、10年後(40歳)までにがんで亡くなる確率は0.1%にすぎませんが、50年後(80歳)までだと15%に高まります(累積の値なので増えるのは当然です)。また、がんで死亡する確率は年齢が上になるほど高まり、現在50歳の男性(緑の枠)が10年後(60歳)までにがんで亡くなる確率は2%です。
男性と女性とを比べた場合、全体的に女性のほうが、がんで亡くなる確率は低いことも分かります。たとえば現在50歳の女性(水色の枠)が10年後(60歳)までにがんで亡くなる確率は1%になっています。
筆者がこの表に注目したのは、以前に翻訳した『病気の「数字」のウソを見抜く』(日経BP社、2011年)で、これと同じような米国のデータが紹介されていたからです。米国版は、原著者らの論文(J Natl Cancer Inst. 2008;100:845-53.)に基づくもので、10年後までに亡くなる可能性が、がん以外の病気によるものも含めて推計されていました。論文に掲載された表(リスクチャート)によると、50歳の男性(喫煙者)が、10年後(60歳)までにがんで死亡する確率は、肺がん1000人中18人(1.8%)、大腸がん1000人中2人(0.2%)、前立腺がん1000人中1人(0.1%)でした。ただしこの数値は、非喫煙者では、肺がん0.1%、大腸がん0.2%、前立腺がん0.1%でした(このことからも間接的に、喫煙が肺がんのリスクになっていることが読み取れます)。
今後、日本でも、データが集積すれば、がんの部位別や、喫煙者・非喫煙者別の確率が分かるようになるかもしれません。
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
