日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 病気にまつわる数字の話  > これから10年間に、あなたが心筋梗塞・脳梗塞を起こす確率は?  > 2ページ目
印刷

病気にまつわる数字の話

これから10年間に、あなたが心筋梗塞・脳梗塞を起こす確率は?

健診結果からリスクを予測できるウェブサイトを利用してみよう

 北澤 京子=医療ジャーナリスト

たばこをやめるだけでリスクが半減

入力データを変えることで発症リスクが変わってきます。

 入力する情報を変化させることで、発症リスクがどのくらい変わるのかを知ることもできます。たとえば上記の例で、ほかの数値を変えずに、喫煙習慣だけを「あり」から「なし」に変えてみたところ、今後10年間に心筋梗塞を発症するリスクは6.5%にほぼ半減しました。このことだけを考えても、いま喫煙している人は、まず禁煙することが大事だと分かります。

 また、他の数値を変えずに、性別だけを「男性」から「女性」に変えてみたら、リスクはぐっと下がって3.4%になりました。残念ながら、男性であることはそれだけで、心筋梗塞の発症リスクを高める要因ということになります。

 作成方法を詳しく報告した論文(Circ J. 2016; 80: 1386-95.)には、男女別に、10年間の心筋梗塞の発症リスクが一覧表で示されていました。リスクの大きさ別に色分けされており、白(無色)は1%未満、水色は1~5%未満、緑色は5~7.5%未満、黄色は7.5~10%未満、オレンジは10~12.5%未満、濃いオレンジは12.5~15%未満、赤は15%以上です。これを見ると確かに、男性は女性に比べて、色のついている部分がずっと多いことが一目瞭然です。

 「リスクチェック」に必要な情報はすべて、特定健康診査(いわゆるメタボ健診)に含まれていますので、自分の数値を知るのは比較的簡単です。ためしに、手元にあった私自身の健康診断の結果を入力してみたら、今後10年間の発症リスクは、心筋梗塞、脳梗塞ともに1%未満で、ちょっとほっとしました…。

1万5000人以上の日本人データを基に算出

 国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)のウェブサイトによると、この「リスクチェック」は、1993年度に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄にある9カ所の保健所管内に住んでいた1万5672人(40~69歳)にアンケートと血液検査を受けてもらい、平均約16年追跡したデータが基になっています。研究をはじめてから20年以上もの年月がかかっていることになります。

 追跡期間中に、この集団内の192人が心筋梗塞、552人が脳梗塞を発症しました。発症した人としなかった人との違いから、発症リスクを予測するために必要な情報を絞り込んだ結果、「性別」「年齢」「喫煙/非喫煙」「降圧薬の有無」「収縮期血圧(上の血圧)」「糖尿病の有無」「HDLコレステロール」「non-HDLコレステロール」の8つになり(脳梗塞の発症予測には「non-HDLコレステロール」は含まれない)、それらの情報を基にリスクを予測する式を完成させました。さらに、別の集団(1万1598人)にこの式をあてはめ、妥当性を確認しています。

 今後、「リスクチェック」を用いて一人ひとりの発症リスクを数値で示すことにより、生活習慣の改善や、ひいては病気の予防に結びつくのか、さらに興味が湧いてきました。

北澤 京子(きたざわ きょうこ)
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
北澤 京子(きたざわ きょうこ) 著書に『患者のための医療情報収集ガイド』(ちくま新書)、訳書に『病気の「数字」のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問』(日経BP社)など。(撮影:直江竜也)

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 第3波を乗り切るためのコロナ対策NEW

    新型コロナウイルスの新規感染者が再び急増し、日本は今、流行の第3波を迎えている。今後さらに気温と湿度が下がると、ウイルスの生存により適した条件が整うようになる。これ以上の流行拡大を防ぐためには、1人1人が感染予防策を改めて見直し、感染リスクの高い行動を避けて生活することが不可欠だ。第3波を乗り切るためのコロナ対策を、もう一度まとめた。

  • 寝たきり予備軍「フレイル」を防ぐためにできること

    老化を防ぎ、健康寿命を延ばすためには、加齢により心身が衰えた状態である「フレイル」の予防が必要になる。フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間に当たるが、これを避けるために特に重要なのが「筋肉量の維持」だ。筋肉量が減少すると、足腰が弱くなって寝たきりにつながるだけでなく、認知症や心疾患のリスクが上がることも分かってきた。筋肉量を維持し、フレイルを防ぐために何をすればよいだろうか。

  • 「ウォーキング」「ジョギング」 大きな健康効果を得るための小さなコツ

    ウォーキングやジョギングなどの「有酸素運動」には、「コロナ太り」の解消や、生活習慣病の予防、免疫力アップなどが期待できる。ただし、漫然と歩くだけでは運動効果は低いし、かといって本格的なジョギングは運動初心者にはハードルが高い。そこで運動効果の上がる歩き方と、初心者でもできる走り方のコツを紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2020 Nikkei Inc. All rights reserved.