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病気にまつわる数字の話

薬の効果を測る「治療必要数」とは?

数値が小さいほど効果が高い

 北澤 京子=医療ジャーナリスト

治療で恩恵を受ける人をあと1人増やす

 人数を半分にしてみましょう。5000人がダビガトランを飲むと、うち29人が、ワルファリンを飲む代わりにダビガトランを飲むことによって脳卒中を予防できたことになります。さらに人数を3分の1にすると、約1700人がダビガトランを飲むと、うち約10人が、ワルファリンを飲む代わりにダビガトランを飲むことによって脳卒中を予防できたことになります。

 さらに人数を10分の1にすると、約170人がダビガトランを飲むと、うち1人が、ワルファリンを飲む代わりにダビガトランを飲むことによって脳卒中を予防できたことになります。そう、「脳卒中や全身性塞栓症を起こしてしまう人をあと1人減らす(予防する)ためには、何人の患者に、ダビガトランを飲んでもらう必要があるのか」という最初の問いに対する答えは、約170人ということになります。

 この約170人という数値は、「ある治療による恩恵を受ける人をあと1人増やすために必要な、その治療を受ける人数」と言い換えることができます。これを縮めて「治療必要数」、英語では「Number Needed to Treat」、略して「NNT(エヌエヌティー)」といいます(念のため申し添えますが、NTTではなくNNTです)。

治療必要数(NNT)の値が小さいほど治療効果が大きい

 NNTは、簡単な計算で求められます。比較したい両群間の差(前回の記事で言えば「絶対的な表現」)をとって、その逆数を取ればよいのです。式にすると、(1÷[絶対値の差])です。RE-LY試験の例で計算すると、NNTは、(1÷[0.0169-0.0111])=(1÷0.0058)=172.4人となります。

 NNTを用いれば、治療法や予防法の効果を、たった1つの数値で表すことができます。もうお分かりかもしれませんが、NNTは、数値が少ないほど効果が大きいことを意味します(恩恵を受ける人をあと1人増やすのに必要な人数が少なくて済むわけですから)。NNTが10の治療法と、NNTが100の治療法とでは、NNTが10の治療法の方が、効果が大きいといえます。このように、NNTは、複数の方法を比較するときにも便利です。

北澤 京子(きたざわ きょうこ)
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
北澤 京子(きたざわ きょうこ) 著書に『患者のための医療情報収集ガイド』(ちくま新書)、訳書に『病気の「数字」のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問』(日経BP社)など。(撮影:直江竜也)

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