前回の記事(「病院に行く? それとも市販薬で済ます?」)でも述べましたが、PICOのO(アウトカム)にはいろいろあります。血液検査などで測定できるアウトカム(誰が行っても同じという意味で客観的なアウトカム)もあれば、「よく眠れた」「体が軽くなった」といったアウトカム(人によって感じ方が異なる主観的なアウトカム)もあるでしょう。
ガイドラインではこの点について、「機能性表示食品については、主観的な指標によってのみ評価可能な機能性の表示も対象となり得るため、(中略)主観的な指標を評価指標とすることは差し支えないが、その指標は日本人において妥当性が得られ、かつ、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られたものでなければならない」としており、一定の歯止めをかけていると読み取れます。
「どうなるか」だけでなく「どのくらいそうなるのか」も重要
今後、機能性表示食品制度が普及するにつれ、パッケージに「目の健康に役立つ」「肝臓の働きをサポートする」といった“機能”が表示される食品が出回ることになるのでしょう。ですがそれだけでは、「なんだか良さそう」というイメージでしかありません。
食品を購入するかしないかを判断する立場の消費者としては、イメージに惑わされず、臨床試験や研究レビューのPICO、すなわち、「だれに対して」「何をすると」「何に比べて」「どうなるか」をチェックする必要があると思います。機能性表示のエビデンスなど、事業者からの届出情報に関しては、消費者庁のホームページで公開される予定です。皆さんも、ぜひご覧になってください。
また、できれば、さらに1歩進めて、アウトカムを単に「どうなるか」ではなく、「どのくらいそうなるのか」という点に目を向けたいものです。たとえアウトカムに何らかの変化があったとしても、それが自分にとって意味のある変化がどうかは分からないからです。次回は、この「どのくらい」について、さらに考えます。
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
