表2をパーセントの形で表したのが表3です。

2×2表の形にデータをまとめると、アスピリン群と非アスピリン群の比較が簡単にできます。アウトカム(+)とアウトカム(-)の比較も簡単です。アスピリン群でも非アスピリン群でも、アウトカム(+)の人が約3%、逆にアウトカム(-)の人が約97%です。つまり、ほとんどの人が、この試験期間中に心筋梗塞や脳卒中を起こさずに済んだということがわかります。2×2表を作成することにより、「比較」と「フレーミング」(関連記事:「200人が助かる」と「400人が死ぬ」は同じ?違う?」)の両方が一目瞭然になるのです。
選択肢は1列目、結果は1行目に書く
2×2表は、あらゆる場面で役に立ちます。その際、約束事として、「選択肢は1列目、アウトカムは1行目」と決めておくとよいと思います。
たとえば、花粉症の症状はつらいけれど、仕事が忙しくて時間がとれない…という場合に、会社を半日休んで病院で治療を受けるか、会社の近くの薬局で市販薬を買って済ませるか、という選択肢があったとします。これが1列目です。
1行目に書くアウトカムにはいろいろ考えられます。症状が軽くなるかどうか、薬の副作用があるかどうか、待ち時間がかかるかどうか…。気になるアウトカムをできるだけたくさん考えて、その数だけ2×2表をつくります(表4)。「副作用で眠気が出るかどうか」とか「目のかゆみが気にならなくなる」といった、より具体的なアウトカムも考えられます。

2×2表をつくったら、自分のできる範囲で数値(予想される割合)を埋めていきます。例えば、「待ち時間負担感」であれば、「病院で治療」は「あり」が90、「なし」が10、「薬局で市販薬購入」であれば、「あり」が10、「なし」が90といった具合です。検討がつかなければ、薬局で薬剤師に質問する手もあります。2×2表が多すぎて、結局どうすればよいか迷ったら、「自分にとっていちばん重要なアウトカム」を優先します。
私たちはふだん、自分でも気がつかないうちに、頭の中で2×2表をつくっているはずです。それを表にして「見える化」することにより、早とちりや、それによる誤解が減るのではないかと思います。実はここで、アウトカムをどう設定するかは、かなり重要です。それについては次回に改めて考えたいと思います。
医療ジャーナリスト・京都薬科大学客員教授
