神経伝達物質を作り、集中力も高める

さらにビジネスパーソンに知っていただきたいのは、B群は脳の働きにも重要な役割を担っているということです。糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。また、B群は脳の神経伝達物質の合成のすべての段階に関わっています。神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、たんぱく質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力アップ」のためにもB群は欠かすことができないのです。
実は脳を酷使するときには、すごくたくさんのビタミンB群が消費されています。試しに、うんと集中した作業の後の尿の色を確認してみてください。通常、ドリンク剤やビタミンBサプリを飲んだ後は尿の色は黄味がかって(B2の色)いますが、B群が消費されることによって黄色い成分が抜け、尿が白っぽくなっているのを確認できるはずです。
二日酔いにも、B群不足が関わる
お酒を飲む機会が増える年末年始になると、悩まされるのが「二日酔い」ですね。二日酔いといっても症状は、吐き気、胃のむかつき、下痢や頭痛などさまざまです。これらのつらい症状は、体内に入って血中を巡るアルコールが肝臓で分解される過程に発生するアセトアルデヒドという毒性物質が主な原因となって起こります。
肝臓にはアセトアルデヒドを酢酸に、さらに二酸化炭素と水に分解する酵素が備わっているのですが、これらの酵素の働き(活性)には遺伝子レベルで決まっている個人差があり、日本人は、この酵素の働きが弱い人が多いことがわかっています。お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は、まさにこの酵素の活性が低いタイプ。アルコールを代謝しきれないから、体にマイナスの影響が起こりやすいのです。
B群は、アルコールの分解と代謝に不可欠な栄養素です。だから、連日のようにお酒を飲む人の血液を調べると、決まってB群の数値が低くなっています。日々消費されていく量に加えてアルコールの代謝によって加速度的に減ってしまうためです。二日酔いで起こる胃のむかつきや下痢も、アルコールが直接胃壁や腸を刺激しているだけではなく、B群不足により酸化ストレスが進むことによって体の内側からも粘膜が痛んでいるのでは、と私は考えています。
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