ところが、冒頭で紹介したチェックリストのような糖質の多い食品を日々とっていると、血糖値の上がり方が変わってきます。食後、血糖値は一気に上昇し、追いかけるようにインスリンが分泌されます。このような血糖値の急上昇を繰り返していると、次第にインスリンが効きにくくなってきます(インスリン抵抗性)。糖尿病は、まさにこの血糖コントロールがうまくいかなくなった状態のことなのです。インスリンが分泌されても血糖が下がらなくなってしまい、空腹時血糖値(食後10時間以上空けた後の血糖値)が126mg/dL以上、と高くなるのが特徴です。
血糖値が高いままだとさらにインスリンが分泌され、ようやく血糖値が下がります。このとき急激に血糖値が下がることに自律神経が反応し、イライラや不安感が強くなったり、ぼーっとしてしまったり、急激な眠気を催したりといった状態が表れます。これらを繰り返すことを「低血糖症」といいます。
図2は、低血糖症を引き起こしている人の血糖曲線です。この人は低血糖時に不安感や緊張、手足のしびれが現れていました。
低血糖状態になると、人は甘いものを欲します。甘い物を食べると下がった血糖値が再び跳ね上がり、楽になったような気がするからです。しかし、甘いものには「麻薬作用」のようなものがあります。やがて、チョコレートひとかけらでは満足できず、脳は常に甘いものを欲するように。するとますます、血糖値の乱高下が激しくなっていくのです。
血糖値の降下に伴った食後数時間のイライラや眠気などは、空腹時血糖値が正常である人、つまり健康診断で「血糖値は正常」と言われた人でも起こります。
なお、自分が低血糖症であるかどうかを見極めるには、医療機関で糖負荷試験というテストを行います。空腹時にブドウ糖75g入りの検査用のジュースを飲んでもらい、その後5時間かけて血糖値とインスリンの分泌量を測定する検査が必要です。ところが保険適用範囲内で行われる糖負荷試験では、糖摂取後2時間までの血糖値の経過しかみることができないため、急激な低血糖が起こっていても発見することができません。血糖値の上下と不調の関係性を突き止めることが不可能なので、ここが日本の医療の問題点だと私は感じています。
- 次ページ
- 糖質過多は老化と万病のもと