日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > からだケア  > Dr.松倉のサプリのすすめ  > 飽食時代の現代人に忍び寄る「栄養失調」  > 2ページ
印刷

Dr.松倉のサプリのすすめ

飽食時代の現代人に忍び寄る「栄養失調」

忙しい人ほど栄養バランスがどんどん崩れていく!?

 松倉知之=松倉クリニック&メディカルスパ院長・医師

 例えば、ダイエットで食事の量を減らすと、肉や魚といったたんぱく質の摂取量が減ってしまいがちです。たんぱく質は骨や皮膚、髪の毛や筋肉の材料となり、細胞の代謝と活性に必要な酵素・ホルモンの産生にも大きく関わる重要な成分です。新陳代謝を促すためには、毎日コンスタントに取る必要があります。

 たんぱく質が不足すると髪がパサつき、肌の潤いが減り、筋肉量が減って姿勢が悪くなるなど、見た目の老化を招きます。新しい細胞を作る材料が不足するためにエネルギーも湧かず、「なんとなくだるい」という状態が続いたりもします。

 食事量を減らすダイエットによって筋肉量が減少したところに、再び元通りの食事量に戻せば、失った筋肉の分のエネルギー消費量が落ちるため、かえって脂肪がつきやすくなる困った状態に陥ります。これがリバウンドの仕組みです。ですから、患者さんの中に「ダイエットをしたい」という人がいると、私は必ず「たんぱく質は減らさずに、十分な量をとってください」と指導しています。

大半の人が栄養の「量」を見落としている

 糖質、たんぱく質の二つについてお話しましたが、それ以外の栄養素についても少し触れておきましょう。

 みなさんは、ビタミンやミネラルといった栄養素が細胞で最も効果的に働く「至適用量」は個人によって異なる、ということをご存じでしょうか。

 おなじみのビタミンCは、人によって体内での使われ方が異なり、細胞内のコラーゲン合成に使われる場合もあれば免疫調整に優先的に使われる場合もあります。少量では一部分の働きしか発揮しなくても、たっぷり取ることによって、まるで階段を水が流れ落ちていくようにすべての機能を満たす、という性質を持っています。

 ところがわが国では、厚生労働省が年齢ごとの栄養所要量を定めていることが誤解を招くことにつながっているようです。

 栄養所要量とは、ビタミンCであれば「不足すると壊血病(かいけつびょう)が起こる」、ビタミンB1ならば「不足すると脚気(かっけ)を発症しやすくなる」というように、「病気を予防するために最低限とるべき量」を定めたものです。現実には個体差があるため、必要な量は異なるもの。それなのに、この栄養所要量を「これ以上とると良くない」と勘違いしている人が大変多く、残念に思います。

 それに比べて米国では、積極的な病気の予防を目的とした量(例えばビタミンCならわが国の成人の栄養所要量である1日100mgをはるかに超える同500~2000mg)が薦められることもあります。病気の原因の一つとされる酸化ストレスから体を守るために必要な栄養量について盛んに研究が行われ、食事だけで補えない分はサプリメントで補うライフスタイルが浸透しているのです。

 一つの不調を手がかりに、本当に必要な栄養素の至適用量を満たすことで、全身の細胞に働きかけるわけですから、その不調が改善されるだけでなく、肌や髪の毛まで若返るなどのうれしいおまけもついてきます。美と健康は常にイコールで結ばれますから、患者さんの喜びも大きい。それが私の診療の原動力にもなっています。

 不調は、日々の「栄養素」のアンバランスから起こっていることが多いものです。崩れたバランスを正し、不調を改善するためのサプリメントの選び方について、次回からお話していきましょう。

Dr.松倉のこぼれ話  「私が栄養素に注目し始めたきっかけ」
人それぞれに最も適した量の栄養素を補う「分子整合栄養医学」を私は診療に取り入れています。医療と栄養学を直接結びつけるこの考え方は、日本ではまだなじみが薄いかもしれません。わかりやすく説明すると、「一つひとつの栄養素が体内の細胞の機能を維持するために働く量を、その人にとって最適な量に整えること。体の機能を高め、病気や老化を改善する」という理論です。細胞が必要とする栄養というジャンルに着眼したこの理論は、ノーベル賞を二度受賞したライナス・ポーリング博士らにより生み出され、1960年代からカナダや米国などの臨床医師らによって治療法が確立しました。海外では精神疾患の治療として応用され始めましたが、今ではほぼすべての医療分野へと広がり、わが国では現在、全国およそ700施設でこの理論を基にした栄養療法が実践されています。

(まとめ:柳本 操=フリーランスエディター)


松倉 知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • かかると怖い!「膵炎」「膵がん」NEW

    激痛に襲われる「急性膵炎」や、発見しにくく5年生存率が極めて低い「膵がん」など、膵臓の病気には厄介なものが多い。今回は、膵臓という臓器の役割や、膵臓の代表的な病気である「膵炎」「膵がん」の怖さ、早期発見のコツをまとめていく。

  • 60代以降で急増! 男を悩ませる前立腺の病気

    中高年にさしかかった男性にとって、病気が心配になる臓器の1つが「前立腺」だ。前立腺の病気のツートップ、前立腺肥大症と前立腺がんは、いずれも中高年になると急増する。前立腺肥大症は夜間頻尿などの尿トラブルの原因になり、前立腺がんは、進行が遅くおとなしいがんと思われているが、骨に転移しやすいという特徴があり、怖い一面もある。今回のテーマ別特集では、前立腺の病気の症状から、具体的な治療法までを紹介していこう。

  • 悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げる実践的な対策

    健康診断で多くの人が気にする「コレステロール」。異常値を放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まっていく。数値が悪くても自覚症状がないため、対策を講じない人も少なくないが、異常値を放置しておいてはいけない。では、具体的にどのような対策を打てばいいのだろうか。今回のテーマ別特集では、健診結果のコレステロール値の見方から、具体的な対策までを一挙に紹介していこう。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2020 Nikkei Inc. All rights reserved.