ストレスによって全身の機能が低下、皮膚粘膜代謝も悪化する

口内炎ができるときには、「疲れが溜まっている」あるいは「精神的ストレスがある」といった要因があることを実感している方も多いかもしれません。現代人をとりまくストレスは、この連載でも「疲れでギブアップ寸前ならCoQ10とαリポ酸を取る」の回でお話ししたように、体を「戦いに備える状態」にしてしまいます。
プレッシャーや緊張などを感じると本能的に「自分は戦闘状態に置かれている」と判断し、ストレスに対抗するためのホルモン「コルチゾール」を副腎から分泌します。
加えて、脳ではアドレナリンの分泌も促され、神経が興奮状態に切り替わります。体はいつでも戦うことができるように、筋肉の動きを優先します。それ以外の場所ではエネルギーを無駄遣いしないように、胃腸の働きを抑えたり、男性の場合は勃起しにくくなるなどの状態に変わっていきます。すると皮膚や粘膜では代謝サイクルが乱れ、肌荒れや口内炎が起こりやすくなるのです。
ビタミンAとB群で粘膜の修復を促す
頑張り屋の人ほど、「この程度で疲れているわけにはいかない!」と自分を鼓舞し、ストレスを蓄積してしまうものです。日々のストレスを癒すためには、しっかり睡眠を取り、疲れを翌日に持ち越さないよう心がけてください。また、日頃の食生活で不足しがちな栄養素をサプリメントで補うことが大切です。
お薦めしたいのは、ビタミンAとビタミンB群をセットで取ることです。前者は、皮膚粘膜代謝の正常化のために欠かせない栄養素で、後者はタンパク質の代謝に関わり炎症を起こした粘膜の修復を促します。厚生労働省が定める耐容上限量(過剰摂取による健康障害を起こす危険のない摂取量の最大限度量)を参考に摂取すれば、市販のサプリメントでも改善が実感できるでしょう。
- ビタミンA:1日当たり2700IU(※成人の場合の耐容上限量)
- ビタミンB群:1日当たり4000mg
ちなみに、私のクリニックではそれぞれの患者さんの状態を確認しながら、治療の一環としてビタミン Aを1日当たり30000~60000IU、ビタミンB群は1日4000mg摂取してもらっています。インターネットなどで購入できる「B-100」と呼ばれるサプリメントであれば、1粒でB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6を合わせて500㎎ほど摂取できます。8粒程度を1日2~4回ぐらいにわけて取るといいでしょう。
ただし、ビタミンAは、過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、肝臓障害を起こすことを以前にも触れました(参考記事:「薄毛が気になりだしたらビタミンA不足を疑え!」)。サプリメントの使用は3カ月を目安とし、効果が実感できない場合は使用を中止しましょう。
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