日経グッデイ

Dr.松倉のサプリのすすめ

「血圧が高め」が気になったら、3大ミネラルを補給

カリウム、カルシウム、マグネシウムで血圧を適正化!

 松倉知之=松倉クリニック&メディカルスパ院長・医師

忙しい日々のなか、健康のため、若々しさアップのためにサプリメントを活用するビジネスパーソンは多いはず。でも、そのサプリメントが体内で十分に力を発揮していないとしたら? いま注目の理論「分子整合栄養医学」をもとに、松倉知之先生があなたにとって本当に必要な栄養素と、“本当に効く”サプリメントのとりかたを提案します。

血圧測定
健康診断で「血圧が高めですね」と言われていませんか。(©Andriy Popov-123rf)

 「人は血管とともに老いる」といわれますが、自らの血管や全身の健康状態を知る重要な指標の1つとなるのが、血圧です。

 血圧とは、血液が全身を巡るために必要な圧力のこと。この圧力が高い状態に体がさらされ続けると、血管や心臓、脳などに問題が起こり始めます。血管では動脈硬化、心臓では心筋梗塞や心不全、脳では脳梗塞や脳出血、腎臓では腎不全など、他人事だと思っていたような病気が近づいてくるのです。

 血圧が高い人ほど心臓や血管系の病気にかかりやすく、それによる死亡リスクも高くなることも明らかになっています。痛みといった明確な自覚症状に乏しいため、「たかが血圧」と放置する人がとても多いのですが、それは大きな勘違いです。

死に至る病気につながる「高血圧」

 日本高血圧学会が定める「高血圧」とは、いわゆる“上の血圧”と呼ばれる収縮期血圧(心臓が血液を送り出すために収縮した時の圧力)140mmHg以上、“下の血圧”と呼ばれる拡張期血圧(心臓が拡張して、血液が戻ってくる時の圧力)が90mmHg以上で、どちらか一方が、先の数値を上回っている状態を指します。健康診断などで「血圧が高め」と言われたことがある人は、まず診察を受けて、血圧に関連する病気が隠れていないか、他の病気を起こしていないかを確かめてもらいましょう。

 今回は、ここ数年続けて健康診断で高めの血圧を指摘された人 、血圧を適正化しておきたい人に、サプリメントに関するアドバイスをしたいと思います。

 あなたの生活のうち、以下のようなことは思い当たらないでしょうか。いずれも、血圧上昇と密接に関わる、注意しなければならない生活習慣や自覚症状です。

  • 治療を始めるほどではないが、「血圧は高め」と言われたことがある
  • 外食する機会が多く、お酒もよく飲む
  • 薄味よりもしっかりした味付けが好き
  • むくみやすい
  • 脚がつりやすい

カリウムで塩分の排出をスムーズに

取り過ぎたナトリウムを追い出すのに有効なサプリメントは?(©Aaron Amat -123rf)

 「血圧が高め」と指摘されたので、血圧計を買って毎朝計測しながら、食事の塩分をできるだけ減らそう、と努力している人もいるかもしれません。

 高めの血圧を改善したいときに、栄養成分の視点から重要となるのが、ナトリウムとカリウムのバランスです。塩分に含まれるナトリウムは摂り過ぎると血圧が上がることはよく知られており、塩分摂取量の多い東北地方では高血圧の人が多いことが古くから注目されてきました。

 塩辛いものを食べると水分がほしくなります。これは、体内のナトリウム量が増えるのを、水で薄めようとする体の仕組みによるもの。「水分量が増加すると血液の量も増え、血液を送り出すのに余計に圧力をかけなくてはいけなくなる」。これが、塩分によって高血圧が引き起こされるメカニズムです。むくみもナトリウムの取り過ぎが原因で起こりやすくなります。

 ナトリウムを排出に導くのが、カリウムです。ナトリウムとカリウムの生体内での適正比率は決まっており、外食が多い、味の濃い料理を好むなど、ナトリウム摂取が多い人ほど、カリウムを必要とします。カリウムは野菜や果物に豊富ですが、忙しい毎日だとなかなか摂取しにくく、不足気味になりやすいと思います。

カルシウムとマグネシウムで血管の動きを正常化

 さらに注目したい栄養成分が、カルシウムとマグネシウムです。これらの不足も、血圧を上げる要因となります。

 カルシウムの摂取量が不足すると、骨の中のカルシウムは減るのに、血管の細胞中では増えるという現象が起こります。 カルシウムには血管壁を収縮させる働きがあるため、血管が必要以上に縮むと、血圧が上がってしまいます。

 一方、マグネシウムには筋肉を緩ませる(弛緩させる)作用があります。カルシウムとマグネシウムが1:1の割合でバランス良く存在すると、血管も正しく収縮と弛緩を繰り返し、血液をスムーズに押し流してくれるのです。なお、カルシウムとマグネシウムのバランスが崩れると脚などの筋肉がつりやすくなります。

 高血圧の治療では、血管細胞中のカルシウムの働きを阻害する「カルシウム拮抗薬」を使うことがあります。ただ、このような薬は血管だけでなく全身の細胞にも作用してしまうために、長く飲み続けるのは問題だと私は考えています。また、日本人のカルシウムとマグネシウムの摂取量は、慢性的に不足していることがいわれています。

 薬が必要になる前に、体内のカリウム、カルシウムとマグネシウムの3つのバランスを正すことで、血圧を適正化することが大切です。

 忙しくてなかなか食事だけではとりきれない分 は、サプリメントで補いましょう。厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の摂取基準量を参考に、以下の量を1日数回に分けて取ってみましょう。

  • カリウム(18歳以上):
    男性は1日当たり2500mg、女性は1日当たり2000mg

  • カルシウム(18歳以上):
    男性は1日当たり800mg、女性は1日当たり650mg

  • マグネシウム(18歳以上):
    男性1日当たり340mg、女性は1日当たり270mg

 カリウムのサプリメントをベースに、カルシウムとマグネシウムはセットで取るのが良いでしょう。ちなみに、私のクリニックでは、高血圧の改善を目的にサプリメントを使う方には、1日当たり、カリウムは2300~4700mg、カルシウムは1000~1300mg、マグネシウムは400~1000mgを使ってもらっています。市販のサプリメントでは、「食事摂取基準」に示された摂取量をしっかり取るよう心掛けましょう。

糖質過剰が高血圧の下地を作っている

 もう一つ、高血圧に導く隠れた要因に、「糖質過剰」があることも知っておいてほしいと思います。本連載ではこれまで、糖質にまみれた生活によって血糖値が乱高下し、その結果、イライラしたり、食後眠くなったりする“弊害”について解説してきました(参考記事:飽食時代の現代人に忍び寄る「栄養失調」)。血圧の上昇には、血糖値を下げようと働くホルモン、インスリンが大きく関係しています。

 インスリンは多く分泌され続けると、次第に効きが悪くなってしまいます。このような状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。血液中にインスリンが多く存在する状態では、(1)交感神経が緊張し(2)腎臓でナトリウム(塩分)が排泄されにくくなり(3)血管壁を構成している細胞の活性が促進される―といった現象が起きて血管が広がりにくくなり、血圧が高くなります。

 このように、糖質を絶えず体に入れることは、高血圧の下地作りをせっせとしているようなものなのです。「主食の量を軽めにし、炭酸飲料や甘いものは控える」。サプリメントに加えて、日常の食事でできることも一緒に始めてみましょう。

運動によるこまめなリフレッシュも高血圧対策になる

 高血圧には精神的ストレスも大きく関わるとされていますから、こまめにリフレッシュすることも大切にしてください。気分転換になり、かつ高血圧対策にも有効なのが、運動です。

 運動というとみなさん、「ジムに行ってたっぷり体を動かさないとダメ」と思うようですが、もっと気楽に考えて構いません。夕食後に散歩をする、あるいは家の中で腕立て伏せや腹筋を1日1度行うことから始めてみませんか。毎日続けることが大切なのです。続けていると次第に数もこなしていけるようになっていきます。そんな発想で、毎日続けられそうなことは何かな、と探してみましょう。私のクリニックでも、血圧が高めの人には、ちょっとした運動から始めるようにお話ししています。

(まとめ:柳本 操=フリーライター)

松倉知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。