忙しくてなかなか食事だけではとりきれない分 は、サプリメントで補いましょう。厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の摂取基準量を参考に、以下の量を1日数回に分けて取ってみましょう。
- カリウム(18歳以上):
男性は1日当たり2500mg、女性は1日当たり2000mg - カルシウム(18歳以上):
男性は1日当たり800mg、女性は1日当たり650mg - マグネシウム(18歳以上):
男性1日当たり340mg、女性は1日当たり270mg
カリウムのサプリメントをベースに、カルシウムとマグネシウムはセットで取るのが良いでしょう。ちなみに、私のクリニックでは、高血圧の改善を目的にサプリメントを使う方には、1日当たり、カリウムは2300~4700mg、カルシウムは1000~1300mg、マグネシウムは400~1000mgを使ってもらっています。市販のサプリメントでは、「食事摂取基準」に示された摂取量をしっかり取るよう心掛けましょう。
糖質過剰が高血圧の下地を作っている
もう一つ、高血圧に導く隠れた要因に、「糖質過剰」があることも知っておいてほしいと思います。本連載ではこれまで、糖質にまみれた生活によって血糖値が乱高下し、その結果、イライラしたり、食後眠くなったりする“弊害”について解説してきました(参考記事:飽食時代の現代人に忍び寄る「栄養失調」)。血圧の上昇には、血糖値を下げようと働くホルモン、インスリンが大きく関係しています。
インスリンは多く分泌され続けると、次第に効きが悪くなってしまいます。このような状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。血液中にインスリンが多く存在する状態では、(1)交感神経が緊張し(2)腎臓でナトリウム(塩分)が排泄されにくくなり(3)血管壁を構成している細胞の活性が促進される―といった現象が起きて血管が広がりにくくなり、血圧が高くなります。
このように、糖質を絶えず体に入れることは、高血圧の下地作りをせっせとしているようなものなのです。「主食の量を軽めにし、炭酸飲料や甘いものは控える」。サプリメントに加えて、日常の食事でできることも一緒に始めてみましょう。
高血圧には精神的ストレスも大きく関わるとされていますから、こまめにリフレッシュすることも大切にしてください。気分転換になり、かつ高血圧対策にも有効なのが、運動です。
運動というとみなさん、「ジムに行ってたっぷり体を動かさないとダメ」と思うようですが、もっと気楽に考えて構いません。夕食後に散歩をする、あるいは家の中で腕立て伏せや腹筋を1日1度行うことから始めてみませんか。毎日続けることが大切なのです。続けていると次第に数もこなしていけるようになっていきます。そんな発想で、毎日続けられそうなことは何かな、と探してみましょう。私のクリニックでも、血圧が高めの人には、ちょっとした運動から始めるようにお話ししています。
(まとめ:柳本 操=フリーライター)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師

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