カリウムで塩分の排出をスムーズに

「血圧が高め」と指摘されたので、血圧計を買って毎朝計測しながら、食事の塩分をできるだけ減らそう、と努力している人もいるかもしれません。
高めの血圧を改善したいときに、栄養成分の視点から重要となるのが、ナトリウムとカリウムのバランスです。塩分に含まれるナトリウムは摂り過ぎると血圧が上がることはよく知られており、塩分摂取量の多い東北地方では高血圧の人が多いことが古くから注目されてきました。
塩辛いものを食べると水分がほしくなります。これは、体内のナトリウム量が増えるのを、水で薄めようとする体の仕組みによるもの。「水分量が増加すると血液の量も増え、血液を送り出すのに余計に圧力をかけなくてはいけなくなる」。これが、塩分によって高血圧が引き起こされるメカニズムです。むくみもナトリウムの取り過ぎが原因で起こりやすくなります。
ナトリウムを排出に導くのが、カリウムです。ナトリウムとカリウムの生体内での適正比率は決まっており、外食が多い、味の濃い料理を好むなど、ナトリウム摂取が多い人ほど、カリウムを必要とします。カリウムは野菜や果物に豊富ですが、忙しい毎日だとなかなか摂取しにくく、不足気味になりやすいと思います。
カルシウムとマグネシウムで血管の動きを正常化
さらに注目したい栄養成分が、カルシウムとマグネシウムです。これらの不足も、血圧を上げる要因となります。
カルシウムの摂取量が不足すると、骨の中のカルシウムは減るのに、血管の細胞中では増えるという現象が起こります。 カルシウムには血管壁を収縮させる働きがあるため、血管が必要以上に縮むと、血圧が上がってしまいます。
一方、マグネシウムには筋肉を緩ませる(弛緩させる)作用があります。カルシウムとマグネシウムが1:1の割合でバランス良く存在すると、血管も正しく収縮と弛緩を繰り返し、血液をスムーズに押し流してくれるのです。なお、カルシウムとマグネシウムのバランスが崩れると脚などの筋肉がつりやすくなります。
高血圧の治療では、血管細胞中のカルシウムの働きを阻害する「カルシウム拮抗薬」を使うことがあります。ただ、このような薬は血管だけでなく全身の細胞にも作用してしまうために、長く飲み続けるのは問題だと私は考えています。また、日本人のカルシウムとマグネシウムの摂取量は、慢性的に不足していることがいわれています。
薬が必要になる前に、体内のカリウム、カルシウムとマグネシウムの3つのバランスを正すことで、血圧を適正化することが大切です。
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