日経グッデイ

Dr.松倉のサプリのすすめ

「血の巡り」を高めて眼精疲労に効くサプリ

血液循環と抗酸化力の底上げで目の調子を良くする

 松倉知之=松倉クリニック&メディカルスパ院長・医師

忙しい日々のなか、健康のため、若々しさアップのためにサプリメントを活用するビジネスパーソンは多いはず。でも、そのサプリメントが体内で十分に力を発揮していないとしたら?いま注目の理論「分子整合栄養医学」をもとに、松倉知之先生があなたにとって本当に必要な栄養素と、“本当に効く”サプリメントのとりかたを提案します。

眼精疲労を放置するとつらい症状が増えていく

 毎日、パソコンに向き合う時間が長い働き者のあなた。最近、目の疲れに困っていませんか? 以下の項目に多くチェックがつくようだと、「眼精疲労」の状態かもしれません。

  • 目が重い、目が痛い
  • 目が乾く
  • 首や肩が凝る
  • 頭痛がある
  • イライラや吐き気がある

 パソコン作業が多く、長時間仕事をした後に上記のような症状が現れたとしても、しばらく目を休めたり一晩眠って良くなるようであれば「疲れ目」と思ってよいでしょう。しかし、眠っても起床時から目が重い状態だったり、吐き気や頭痛などの症状を伴うときには「眼精疲労」の可能性が高いと考えられます。そのまま放置すると、ますます状態が悪くなるかもしれません。

 また、注意したいのは、眼精疲労の背後には目の病気が隠れている場合があるということです。自覚症状がない場合も少なくありませんが、緑内障や白内障、網膜剥離、黄斑変性症などの目の病気は、失明につながることもあるため、見逃すと危険です。目の不調を感じたら、迷わずに眼科でチェックをしてもらってください。

 さて、眼科で「眼精疲労」と診断された場合。医師からはあまり「ふだん何を食べていますか?」という質問はされないかもしれません。しかし、私は目の健康のために最も重視すべきは、いかなる栄養素を体にとりこみ、目にまで行き渡らせることができるか、ということだと思うのです。

こってり食生活が「血液の巡り」を悪くしている

目の周辺にはたくさんの細い血管が張り巡らされている
目の周辺にはたくさんの細い血管が張り巡らされています。(©ali kocakaya-123rf)

 目が重く感じたり、痛みがあったり、さらに首や肩までがちがちに凝る、ときには頭痛や吐き気もある…。このような不調を伴う眼精疲労を起こしている時、目の中では何が起こっているのでしょう。

 私たちが物を見るときには、目のいろいろな部分が働いています。両目を連動させて視野をとらえるために、脳が指令を出し、目の神経を介して眼球周辺にある筋肉を動かしています。眼球を上下左右に動かす、焦点を合わせるために水晶体の厚さを調整する、そしてまぶたを開けるなど、視神経や目の周囲にある筋肉や組織が絶えず連携し合っています。

 このような連携プレーがあってはじめて目的のものをクリアに見ることができるのですが、視神経や筋肉がスムーズに働くには、この部分に「血液がスムーズに巡っている」ことが非常に重要なのです。

 しかし、忙しい現代人は、特に食事が乱れがちで、揚げ物やラーメンなどで手軽にお腹を満たすために、脂質を多くとりがちです。すると、当然ながら血液はドロドロになりやすく、体の隅々まで栄養や酸素を送る毛細血管の血流が滞りがちになります。体の細部まで行き渡る血流が悪化すれば、視神経や目の周囲の筋肉の働きも悪くなってしまうのです。

 見えづらい、と脳が判断すると、視神経は目の周囲の筋肉をさらに緊張させるよう命令し、それに連動するように肩や首もがちがちに凝る。このような状態では神経の興奮がなかなか収まらず、交感神経が優位になってしまいます。このように、血液の巡りが悪くなることによって、目の疲れ、肩こりや首の凝り、不眠など、不調の連鎖を生んでしまいます。

「微少循環」が目の健康を支える

 体の隅々まで血液が循環することを「微小循環」といい、これが滞ることを「微小循環不全」といいます。全身の各組織の細胞に栄養を送り、老廃物などの代謝産物を回収するという大仕事をこの微小循環が担っていることを知ると、心臓や動脈などの太い血管よりも微少循環のほうが「主役級」の存在、と言えるかもしれません。

 例えば、お酒を飲むと顔が赤くなるタイプの人は、酒の飲みすぎに要注意です。アルコールをスムーズに代謝できないため、少量だけ飲んでも体の解毒器官である肝臓に負担をかけています。肝臓も、微少循環がはり巡らされている臓器です。肝臓は、体に入った悪い物質を解毒するとともに、栄養となる物質を正常に代謝する働きも担っているので、肝臓の機能が低下すると、すぐに目にも悪影響が表れます。東洋医学では「肝は目につながる」というそうですが、目の健康を考えるならば、血液をきちんと巡らせることを意識したいものです。

紫外線によっても目はダメージを受けている

目が重く感じたり、痛みがある上に、首や肩の凝り、頭痛や吐き気が伴う場合は眼精疲労を疑います
目が重く感じたり、痛みがある上に、首や肩の凝り、頭痛や吐き気が伴う場合は眼精疲労を疑います。(©Jasmin Merdan-123rf)

 目は紫外線にさらされやすい、つまり、常に活性酸素にさらされている臓器でもあります。活性酸素とは周囲の物質を酸化させる力が強い酸素のことです。

 細胞内には、活性酸素によるダメージから体を守るために「グルタチオン」という抗酸化物質が待機しています。しかし、年齢とともに細胞内のグルタチオンの濃度は下がり、活性酸素の攻撃に対して脆弱になってしまいます。

 さらに、疲れると甘いものや炭水化物を欲するような人は、体内で酸化物質が増えやすくなっていると考えられます。血液中の糖が過剰になると、体内では糖を代謝する仕事をフル回転で行うこととなり、その結果、代謝産物である酸化物質が多く発生します。糖尿病の患者さんが「糖尿病性網膜症」になり、失明に至るのはこのような糖質過多の食習慣の蓄積が関係しているのです。

「ナットウキナーゼ」と「抗酸化サプリ」で目の健康を底上げ

 眼精疲労というと目薬を処方されたり、加齢性黄斑変性の進行を抑えるとされる色素成分「ルテイン」などが注目されがちですが、もっと基本的な目の働きに欠かせない「血液循環」と「抗酸化」をキーワードにしたサプリメントを補うことも、大切にしてほしいと思います。

 血液循環を良くする働きがあり、副作用もなく安全に飲めるサプリとしてお薦めなのが、納豆から抽出される酵素「ナットウキナーゼ」です。摂取上限量(ナットウキナーゼ協会が定めた推奨値)である1日当たり2000FUを目安に取ってみましょう。ちなみに私のクリニックでは、患者さんの体調を確かめながら3000~5000FU処方しています。

 目を「酸化」というダメージから守るには、細胞膜を通過して細胞内に入り込む水溶性の物質であるビタミンCと、細胞膜に待機して抗酸化能を維持する脂溶性の物質であるビタミンEの両方が必要です。さらにαリポ酸を組み合わせると、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化力をさらに高め、長続きさせることができます。

 ビタミンCは1日当たり2000mg取れば良いでしょう。水溶性なので、使われなかった分は次々排せつされていきます。ですので、1回にまとめて飲むのではなく、1日4~5回に分けるなどしてコンスタントに補給していくのがお勧めです。ちなみに、ビタミンCの必要摂取量は100mgですが、これはビタミンC不足が引き起こす壊血病を防ぐために決められた数値です。治療を目的とする分子整合栄養医学では、2000mg程度服用すれば効果が得られると考えられています。

 一方のビタミンE(トコフェロール)は、耐容上限量を超えないように取ってください。α、β、γ、δの4種類を含むトコフェノールであれば800IUとなります。600IU以上なら眼精疲労の改善効果を実感できるはずです。ビタミンEは過量に摂取すると、出血のリスクが高まるため、飲み始めたから不調を感じた場合には、医療機関を受診するようにしてください。

疲労回復のためにαリポ酸、血流を良くするビタミンAも追加

 さらにαリポ酸には、「疲れでギブアップ寸前ならCoQ10とαリポ酸を取る」でもお話したように、体のエネルギー産生サイクルを回す能力を高めて疲労回復を助ける効果があります。ハードワーカーこそ意識してとりたい成分だといえます。これらの効果を高めるために、私のクリニックでは患者さんの体調を見ながらαリポ酸はサプリメントで取るとよい摂取目安量である1日当たり150~300mgを処方しています。

 前回、「薄毛が気になりだしたらビタミンA不足を疑え!」で紹介したビタミンAも血流を良くするサプリメントとして最適です。摂取による安全性が確かめられた耐容上限量(1日当たり)2700IUを目安に、1日数回に分けて飲んでみるといいでしょう。涙液の正常な分泌にもビタミンAは関与していて、ドライアイの症状がビタミンAで改善した、という声は当院でもよく聞かれます。

 ナットウキナーゼとビタミンC、Eを基本に取ることで、眼精疲労が軽減されると思いますが、さらに効果を上げたい場合にはαリポ酸を追加すると良いでしょう。ビタミンAはプラスαとして位置付けています。

(まとめ:柳本 操=フリーライター)

松倉 知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。
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