「頭皮に分泌される過剰な皮脂が悪さをして脱毛を促進する」と考え、シャンプーをたくさん使ってごしごし頭を洗う人がいます。
現在中年期にあたる世代は、思春期に洗顔ブラシを使うなど「洗うこと礼賛」の洗礼を受けていますね。かくいう私も10代の頃、ニキビに悩んで洗顔ブラシを使ってみましたが、「毛穴が開いた」と自分で気づいてすぐにやめました(笑)。ニキビに悩む患者さんには「洗いすぎは良くないよ」と指導しています。なぜなら、洗えば洗うほど失った油分を補おうとして、かえって分泌が増えてしまうからです。
生き物が作り出している皮脂膜ほどすぐれたバリア剤はないと思います。頭皮の皮脂も、正常に分泌されていればしっかりとバリア機能を発揮してくれます。だから私は、シャンプーは極力少なくして、ぎりぎり泡立つ程度の量を使うことにしています。おかげで、もうすぐ53歳になりますが、白髪も少なく「なにか髪にいいことをやっているの?」と聞かれることが多いですよ。
(まとめ:柳本 操=フリーライター)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
