忙しい日々のなか、健康のため、若々しさアップのためにサプリメントを活用するビジネスパーソンは多いはず。でも、そのサプリメントが体内で十分に力を発揮していないとしたら?いま注目の理論「分子整合栄養医学」をもとに、松倉知之先生があなたにとって本当に必要な栄養素と、“本当に効く”サプリメントのとりかたを提案します。
薄毛の原因は「遺伝」「体質」だけではない
洗髪中の手のひらや寝起きの枕元、鏡に映った自分の頭を見て、髪が心配…。次のことに心当たりがある人には、今回の内容が役に立つはずです。
- シャンプーをしたときに指に絡む抜け毛が多い
- 白髪が増えてきた
- 髪の毛のコシがなくなってきた
- 朝起きたとき、枕に抜け毛が目立つ
- 抜けた髪が細く、短くなってきた
薄毛というと「親も薄毛だから…」と諦め半分の人が多いようです。確かに、薄毛の要因には遺伝性の要素が大きく関わることがわかっています。
「AGA」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。AGA(Androgenetic Alopecia)とは、男性型脱毛症のこと。通常、30代後半から50代ぐらいの中年期の男性に見られる脱毛症ですが、もっと若くして発症することもあります。
AGAには男性ホルモンである「テストステロン」が関わっています。このホルモンは「5α-リダクターゼ」という酵素によって、ジヒドロテストステロン(DHT)という活性型男性ホルモンに変換されて、発毛に関わる毛母細胞の働きを阻害します。DHTは「脱毛ホルモン」とも呼ばれ、抜け毛を促進させてしまうのです。つまり、5α-リダクターゼの働きとDHTに対する毛母細胞の感受性の強さの2つによって、AGAになるかどうかが決まります。
これらの要素は遺伝子によって親から受け継がれていることが多いために「薄毛は遺伝する」とされるのです。
医療機関における脱毛治療では、この酵素の働きをブロックし、脱毛ホルモンであるDHTを作らせないという視点で開発された発毛剤「フィナステリド(商品名プロペシア)」が処方されています(保険適用外)。また、薬局では、降圧薬ミノキシジルの多毛症という副作用を逆手に取った発毛剤「リアップ」(大正製薬)が市販薬として販売されています。
とはいえ、薄毛になるかどうかを決定づけるのは遺伝的要素だけではありません。
脱毛が気になりはじめるもっと前から、日々とっている栄養素はどうか、髪の毛をどんなふうにケアしているか、といった基本にもっと着目すべきではないかと私は考えています。
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