女性の更年期の場合、閉経前後(45~55歳)で女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に低下するため、それに伴ってホットフラッシュ(ほてり)やイライラ、うつうつなどの症状が顕著に表れます。ところが、男性は個人差はありますが40~60歳にかけてじわじわと男性ホルモンの分泌量が低下するために、気力があまり出ない、男性機能が衰えるといった加齢変化だと思うような“小さな”症状として表れます。しかも、長期間続くことが多いようです。
また、近年、女性の出産年齢が高年齢化していることから、両親の更年期に子どもの思春期が重なり、家庭内がぎすぎすしてしまうケースもあると聞きます。「近ごろ、体や心がバランスを崩しているかな」と気付いたら、男性こそ更年期を意識し、対処して立て直すべきだと考えています。
前立腺の機能を整えるミネラル「亜鉛」
男性ホルモンの低下に伴う、意欲の低下、性欲の低下やED(勃起不全)、さらに男性ホルモンそのものの低下の抑制にも役立つのが、今回お薦めする「亜鉛」です。
亜鉛は不足すると、味覚障害(味を感じにくくなったり、口に何もないのに苦みや渋みを感じる)が起こることをご存じの人もいるかもしれません。亜鉛は、体の中で起こる化学反応を促し、神経の伝達、細胞分裂、免疫機能など、あらゆる生命活動に関わる酵素の働きを助ける役割を果たします。皮膚の新陳代謝、ホルモンの合成や分泌、傷付いた組織の修復など、実に多彩な働きをしているのです。
亜鉛は体内にはおよそ2g含まれ、細胞分裂が盛んで代謝が活発な臓器、特に骨格筋や骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに存在します。また、亜鉛は“セックスミネラル”という呼び名もあるように、性と関わりが深いミネラルでもあります。男性の場合、前立腺と精液にも亜鉛が多く存在します。
男性ホルモンの量が減少したときに、それを補おうと過剰に反応することが原因の前立腺肥大症では、亜鉛を十分に補うことで、症状を抑制できることがあります。
亜鉛が不足すると、日々精巣で作られる精子産生数にも影響します。今、増えているといわれる男性不妊にも亜鉛不足が関わっているのではないか、だからこそ、亜鉛を補うことによって男性ホルモンの分泌を整え、EDの悩みも改善できるのではと考えています。
