日経グッデイ

Dr.松倉のサプリのすすめ

たまった脂肪は「L-カルニチン」でぐんぐん燃やせ!

食事でとった脂肪を燃えやすくする。疲れもスッキリ!

 松倉知之=松倉クリニック&メディカルスパ院長・医師

カルニチンは、赤身肉に豊富に含まれる成分

 こんな人には「カルニチン」が必要

  • 増えた体重が元に戻りにくい
  • 疲れやすくてパワーが出ない
  • 階段を駆け上がると心臓がバクバクする
  • 体が冷えると感じる
  • 普段の食事であまり肉をとらない

 年末年始にたっぷり飲み食いして太り、体重が一向に戻らないという人は、今回の話が役に立つでしょう。かくいう私も、正月明けはお腹の空き方が激しいなぁ、と実感しました。脳は甘いものが大好きで、甘いものをとってのんびりしていると、すぐにその習慣に甘やかされ、慣れてしまうものです。こんな時には食欲に翻弄されず、自らの意志で「体を立て直すぞ!」と決意することが必要です。たるんだ体を元に戻そう! と決意した人にお薦めしたいサプリメントが、「カルニチン」(正式にはL-カルニチン)です。

カルニチンは肉に多く含まれています。脂肪の燃焼を助ける栄養素です。(©monphoto-123rf)

 カルニチンとは、アミノ酸をもとに体内で作られる成分のこと。羊肉やレバーなどの赤身肉に豊富に含まれ、その名前も肉を表すラテン語「carnis」に由来します。カルニチンは成人の体におよそ20g存在し、そのほとんどが筋肉に含まれています。その他、肝臓や腎臓、心臓、脳などにも微量ながら存在します。1日当たり10~20mg程度が体内で合成されますが、その材料の多くは肉を食べることによって調達されます。特にカルニチンが豊富な羊肉を多く食べるオセアニアやモンゴルでは1日300~400mgのカルニチンをとっているのに対して、日本人は平均75mg程度といわれています。

 カルニチンのサプリメントのパッケージには、「脂肪を燃やす」「ダイエットに効く」という表示があるものも多いですね。このメカニズムについてご紹介していきましょう。

カルニチンは脂肪酸を「脂肪燃焼工場」に運搬する

 食事に含まれる脂肪は消化酵素によって分解され、脂肪酸という物質になって小腸から吸収され血液中を巡ります。この脂肪酸が細胞内に取り込まれ代謝されて、エネルギーに変わるのですが、これらが自動的に起こるわけではありません。

 脂肪酸は、細胞内にある「ミトコンドリア」という“脂肪燃焼工場”に引っ張り込まれてはじめて、エネルギーに変わることができます。このとき、脂肪酸をミトコンドリア内に運び込む役割を担っているのが、カルニチンなのです。

 カルニチンが不足すると脂肪酸はミトコンドリア内に運搬されなくなるために体はエネルギー欠乏を引き起こしやすく、だるい、疲れやすい、という状態になります。もちろん心臓の筋肉でもエネルギーが生み出せませんから、例えば階段を駆け上がったときに動悸が起こることもあります。エネルギーを作りにくいと体は熱も産生しにくくなる。「最近、やたらと体が冷える」と感じている人は、カルニチン不足になっているかもしれません。特に、普段、肉をあまり食べない人はなおさら、カルニチン不足の状態になりやすいのです。

 カルニチンが不足すると、脂肪酸は脂肪細胞に運び込まれ、脂肪として蓄積されます。脂肪の燃焼スイッチを入れるには、ミトコンドリアに脂肪酸を運ぶカルニチンが有効、という仕組みが理解いただけたでしょうか。

「カルニチン+筋肉量を増やす」の合わせ技が重要!

 では、「カルニチンをとれば脂肪が燃えてやせられる」のかと言うと、そう単純にはいきません。

 ミトコンドリアは全身のすべての細胞にありますが、特にエネルギーを必要とする筋肉細胞の中に多く存在します。筋肉量が少ないと筋肉細胞の中に存在するミトコンドリアの総数も減る。だから、何らかの運動を行って筋肉量を増やし、燃焼工場自体の数を増やすことが必要です。

 また、糖質たっぷりの食生活を改めることも欠かせません。糖質をたくさんとると、それだけ脂肪酸も多く作られる。脂肪酸の量がそれを燃焼する量より多ければ、だぶついた分は中性脂肪として、蓄積されてしまいます。

 ミトコンドリアのエネルギー産生機能を高める、すなわち燃焼工場の効率を上げるのに役立つのが、前回お話したビタミンB群。ビタミンB群は補酵素としてエネルギー産生サイクル(TCA回路、クエン酸回路)をぐんぐん回していく役割を担っているので、不可欠な栄養素です。

 体の酸化を防ぎ、代謝サイクルをより高めていくために、ミトコンドリア内でさらにエネルギー産生を促す「コエンザイムQ10」、「αリポ酸」も合わせると、最強の組み合わせになります。

 ダイエットを始めよう、と決意したあなたへのメニューとして、私のクリニックで処方している目安を紹介します。

  • 食事では意識して赤身肉をとる。(カルニチンの摂取)
  • カルニチンを1日500~1000mgとる。(脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶ)
  • ビタミンB群を1日4000mg、プラスαとして、αリポ酸を1日200~600mg、コエンザイムQ10を1日300~900mgとる。 (ミトコンドリアのエネルギー産生機能を高める)
  • 体を動かす習慣を心がけて、筋肉量を増やす(ミトコンドリアの総数を増やす)

 摂取量の幅が広いのは個体差が大きいためです。国内で流通しているサプリメントでは配合量が少ないので、1日数回に分けて摂取するようにしてください。カルニチンは多く取り過ぎると、吐き気や嘔吐、腹部痙攣、下痢、“生臭い”体臭などの副作用を起こすことがわかっています。厚生労働省は摂取上限を1日当たり1000mgに定めていますが、クリニックでは患者さんの状態を見ながら1000mg以上出すこともあります。

 運動習慣は、忙しい毎日だとなかなか取り入れられないものですよね。筋肉を増やしたいときは、歩くのが最も手軽で効果的な方法です。人間の体で最大の筋肉は、太ももにある大腿筋。私は夕食後に、太ももをしっかり使うよう意識しながら15~20分早歩きをするよう心掛けています。もちろん最初は5分でもいい。慣れてきたら10分、15分と増やしていくといいでしょう。

 なかなか歩く機会がとれないときは、お風呂の中での簡単トレーニングをお薦めします。インナーマッスルを意識しながら深呼吸を繰り返したり、浴槽の中で両脚を揃えて股関節から上げ下げするなど、ちょっとした意識で筋肉に刺激を与えることができますよ。

 カルニチンをサプリメントで補い、脂肪の燃焼効率を高めていけば、代謝サイクルも活性化して、体はすっきり、疲れもすっきり回復しやすくなっていきます。

(まとめ:柳本 操=フリーライター)

松倉 知之(まつくら ともゆき)
松倉クリニック&メディカルスパ(東京都渋谷区)院長・医師
松倉 知之(まつくら ともゆき) 1962年東京生まれ。1988年北里大学医学部卒業、同大形成外科勤務。99年より現職。ボトックス、ブルーピール、レチノイン酸などを日本に導入したことで知られる。一人ひとりの患者に結果の出る最良の治療法を提示することを信条とする。日本形成外科学会・日本美容外科学会・日本整形外科学会・国際形成外科学会専門医、医学博士。