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自分のこころのトリセツ

「人前で話すのが怖い」 こんな時どうする?

本番では、100点ではなく30点に到達できればよしとしよう

 下園 壮太=メンタルレスキュー・インストラクター

着実に準備し、高すぎる目標は下げてみよう

 「どうか、あがりませんように」と唱えて理性で抑え込もうとしても効果がないのは、あがることが、本能が発する自衛のための感情だからです。しかし、そのメカニズムをよく理解した上で対策をとると、ずいぶん冷静になることができます。

 たとえば、スピーチのことを考えるだけでもあがってしまうようなときは「このような状態になってしまうのは、必要な対策をやっておけ、というサインなんだな」と前向きにとらえるといいのです。やるべき準備やリハーサルを淡々とこなしましょう。話す内容をメモした紙や、試験前であれば自分の勉強したノートや参考書類を本番の場所にも持っていきます。現場で見ることはなくても、「これがあるから大丈夫!」とお守りのような役割を果たしてくれます。

 イメージしている目標のハードルを下げることも大切です。こんなときは「7対3バランス」という考え方が役立ちます。

 もしもあなたが100点満点を目標値に設定しているとしたら、大変です。だって、人前で完璧なスピーチができて拍手喝采が起こったりしたら、また誰かに頼まれてしまうかもしれません! 20 点では、ちょっとダメかなぁ、と思うけれど、「つっかえながらも、なんとか最後まで話せた」というレベルの30点に到達できればOKとしましょう。「話にうなずいてくれる人が何人かいた、結構いい反応が得られた」というレベルの70点がとれれば、万々歳でしょう。「あがる」ときの「不安」は、対人不安からわき起こっています。だから、誰か1人でも笑ったり、興味深そうな表情をしてくれたりするだけでも気持ちが楽になるものです。そのためにも、“つかみ”のせりふだけはしっかり練習すること。事前に周囲にあいさつしておき、顔見知りになっておく「根回し」もバカにはできません。

 いよいよ本番! というときには、自分の声や話をするスピードだけにとことん集中するのも一つの方法です。何か一つのことだけに極力集中することによって、「評価されたい」とか「人からよく見られたい」という自分を追い込む感情の居場所を狭めることができます。身体感覚に集中することによってプレッシャーを和らげる、というのはスポーツ選手も実行しているおなじみの方法ですよね。

[まとめ] あがってしまいそうなときは、しっかり準備し、根回しもしておく
(1)しっかりリハーサルして、お守りも持っていく

 不安になるのは「準備したほうがいい」という本能からの指令と受け止めましょう。台本を作る、リハーサルをするなど準備することによって不安のレベルを下げることができます。当日は、準備したもの、勉強したノートなどを持参すれば、お守りがわりになってくれます。

(2)目標のハードルを下げてみよう

 完璧を求めすぎると、「あがる」感情は高まるばかり。100点満点のうち、70点ぐらいを目標にしましょう。「一応目標を目指してがんばってみるけれど、最低でも30点とれればよしとする」ぐらいに考えると気が楽になります。ほどほどを目指していると、肩に力が入らずリラックスできます。

(3)“ つかみ”を練習し、根回しもしておく

 つかみのトークで笑いをとるなど、誰かが「いい反応」をしてくれるだけでも、不安が吹き飛ぶもの。事前に「あがってしまうかもしれませんが、よろしく」などと周囲にあいさつしておき、顔見知りの人を何人か作っておくのもお薦めです。知っている顔を見ながら話すと、緊張も和らぎます。

(まとめ:柳本 操=フリーランスエディター)

『学校では教えてくれない 自分のこころのトリセツ』(日経BP社、2013年9月発行)より転載


下園 壮太(しもぞの そうた)
メンタルレスキュー・インストラクター
下園 壮太(しもぞの そうた) 1959年鹿児島県生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。筑波大学で心理学を学ぶ。1999年より陸上自衛隊初の心理幹部として、多くのカウンセリング経験を積む。陸上自衛隊衛生学校メンタルヘルス教官として、衛生科隊員(医師・看護師など)にメンタルヘルス、自殺予防、カウンセリングなどを教育する。惨事ストレスに対応するMR(メンタル・レスキュー)インストラクター。2009年に第8回「国民の自衛官」に選ばれる。「学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ」(日経BP社、2013年9月発行)などの著書がある。

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