「好き」と「人よりできる」が夢の手がかりになる
しっかり休息をとり、ちょっと元気が戻ってきたら、あらためて夢について考えてみましょう。私は、夢が生まれる要素は2つあると思っています。
1つ目は、「好き」ということ。好きなものがわからない、という人は、たいてい「好きなものは向こうからやってくる」と思っています。しかし、食わず嫌いでいるうちは決して夢は見つけられません。つまみ食いでいいから、いろいろな方向から当たってみて、体験してみることが大切です。
2つ目は「少しでもいいから、人よりできる」こと。好きなことを見つけたら、とにかく続けてみましょう。最初は誰だってうまくいきませんが、好きならば続けられます。続けているうちにうまくなって、人から評価されたり、感謝されたりする経験をして「できるかも」という手応えを感じます。すると、もっと好きになり、続けられる、という良い循環が起こります。
私自身、現在の仕事の魅力が、最初はよくわかりませんでした。
心理学に興味があり、大学で研修を受けたけれど、実際の講義内容は教科書的なことがほとんどで「こんなことが何の役に立つのだろう」と疑問に思ったこともあります。
研修を終え、いざ自衛隊に戻ると早速「心理学を学んだのだから、部隊でカウンセリングをやれ」という任務が与えられました。どうせやるなら意味のあることをしたいと思い、必死で考え、取り組みました。ときにはクライアントが自殺し、絶望することもあります。しかし、続けていると、ふと道が開けたような気がすることもあります。そんな繰り返しで、現在に至っています。
どんな職業にも、プラス面とマイナス面があります。
上司の命令を聞き、ノルマをこなすという「しんどい」面もあれば、充実感や人に喜んでもらえる「やりがい」、お金をもらえるといういい面もある。しんどさはそれほど受けいれ難いものではなく、やりがいは自分にとってかけがえのないもの。そう思える仕事を今の職の中で見つけてみましょう。
また、「夢」などというフレーズを掲げなくても、自分なりの目標に向かってこつこつと力を注ぐ人は、きっと仕事もそこそこ好きになり、生活も楽しんでいけるのではないでしょうか。今、夢がなくてもいい。夢をねだるためにエネルギーを消耗するより、まずは体力を整えてから今あるあなたの役割と限られた時間を、ていねいに生きていくことを大事にしてほしいと思います。
そうすれば、10年後、20年後に、なりたかった自分になれているかもしれません。夢を手に入れたかどうかは、結果論として、後からついてくるものだと私は思っています。
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