一度の失敗が、次の失敗を恐れさせる原因になることは誰にでもあります。くよくよ考えるうちに「自分を責める」スイッチが強く入ってしまい、自信を喪失させる引き金になってしまうことも。しかし、準備や努力によってコントロールできることはわずかで、ほとんどが自分の力ではどうにもならないことなのです。失敗にとらわれてくよくよする気持ちが晴れないときは人に頼ってみるのも一つの手です。

失敗をしてしまったとき、終わったはずの出来事をくよくよと考え続けたり、プレッシャーでがちがちになって再び同じような失敗を繰り返してしまったりすることがあります。こんなとき、どのように気持ちを立て直していけばいいのでしょう。
まずは、失敗したショックを引きずり、また同じことをやってしまうというメカニズムについて考えてみましょう。
人間がショックを受けると、本能は「命を守るために、次の対策を立てよ」というメッセージを送ってきます。
次の失敗を恐れすぎると「攻撃から身を守ること」に意識が向く
このとき、その対処に集中できるならば問題はありません。ところが、次の失敗を恐れすぎると「また失敗したら、周囲から非難される」という不安のほうが大きくなってしまいます。すると本能は、これからやる作業についてではなく、「失敗した後の攻撃から自分の身を守る」ことを最優先して考え始めてしまうのです。
その結果、肝心の作業に集中できず、失敗を繰り返すという悪循環にはまってしまう。ゴルフで「池に入るな、入るな」と思うほど池のほうに打ってしまうと言いますね。仕事や人間関係においても同じことが起こってしまうのです。
失敗したことをくよくよ考えるうちに「自分を責める」スイッチが強く入ってしまうこともあります。特に、努力すればするほど成果が出る、と思っている人はこの傾向が強いのです。「結果は常に自分でコントロールできる」という強い思い込みがあることが災いし、失敗したこともすべて自分のせいにしてしまう。しかし、すべて自分が悪かった、と考えるのはつらいことです。一気に自信を失う原因になります。
実はカウンセラーも、この壁に突き当たりやすいのです。何年も懸命に勉強したのに、カウンセリング結果がうまくいかなかったとします。すると、「自分はカウンセラー失格だ」と落ち込んでしまいます。しかし、客観的に何が失敗要因だったのかを考えてみると、そもそも相手との相性が悪かったとか、自分の能力ではどうにもならないことが結果に影響していたんだな、と気づくこともしばしばあります。
- 次ページ
- 自分にバツをつけていませんか?