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自分のこころのトリセツ

「弱音を吐きたくなったら」こんなときどうする?

限界までの我慢、感情を抑えられない自責の念は逆効果

 下園 壮太=メンタルレスキュー・インストラクター

つらい気持ちをそのまま認めることから始めよう

 そうはいっても、現実社会で弱音を吐くことは、なかなか難しいものです。

 実際、弱音ばかり吐く人はうとまれる傾向があります。なぜなら、「マイナス感情は人に伝染しやすい」からです。太古の時代、泣いたり叫んだりすることは、SOSのサインであるとともに敵の襲来を意味していました。その名残で、人はマイナス感情に対して、敏感に反応するようにできています。場を共有する一人が落ち込んでいるだけで心がざわつき、その集団の空気も沈む。「弱音を吐くと嫌われる」という思いは、あながち間違いではないのです。

 でも、大事なのはバランスです。弱音は軽々しく吐くべきではないけれど、限界まで我慢したり、感情を抑えられない自分を責めたりするのは、間違っています。

 あなたのエネルギー貯金がどんどん浪費されている、とイメージしてみましょう。この悪循環を本気で止めることができるのは、あなただけです。

 有効なのは、今ある環境から離れることです。仕事を休む、つらい人間関係から距離を置く。熱いコップを握りしめたまま「熱い、熱い」と苦しんでいるのはあなたなのだから、コップを手から離せばいいんです。

 もちろん、それができないときも多いでしょう。それでも「感情を認め、表に出す」ことならできると思います。つらくなったら、「つらい」気持ちをまず自分で受け止める。そして、本能が表現したがっている感情を、上手に解放してやるのです。

 たとえばごく近い存在の友人に「ごめん、弱音吐いちゃっていい?」と打ち明けてみるのもいいでしょう。問題そのものは解決しなくても、つらい気持ちに共感してもらえるだけで、心は軽くなります。

 一人だけでできる方法もあります。人に言えないような感情を洗いざらい日記に書いたり、DVDを見て感情を揺さぶられたりすることによって、感情を抑えつけようとしていた圧力をゆるめることができます。

[まとめ]感情を抑えつける圧力を弱めることから始めてみよう
(1)味方になってくれる人に話してみる

つらい感情は「表現する」ことが大切です。そして、その感情を「共感してもらう」ことも同じくらい大切です。あなたが自然に弱音を吐けそうな相手に、打ち明けてみましょう。ただ相づちを打ってもらうだけでも、胸のつかえがとれ、心が軽くなってきます。

(2)秘密の日記に好きなだけ書く!

こんなこと言ってはいけないかな、とはばかられるようなことでも、日記になら遠慮する必要なし! 洗いざらい、本音を書きましょう。気持ちを書くこと=表現すること、感情を「認める」ことなのです。カラオケで熱唱する、絵で表現することも感情表現となり、不思議とスッキリします。

(3)映画を見て、感情に揺さぶりをかける

映画のジャンルはなんでもOK。そのときに「見てみたい」と直感で感じるものを選びましょう。主人公になりきってドキドキハラハラしたり、笑ったり、号泣したり。ストーリーを共有して感情に揺さぶりをかけると、感情を抑え込もうとしていた圧力がゆるみ、心がほぐれてきます。

(まとめ:柳本 操=フリーライター)

『学校では教えてくれない 自分のこころのトリセツ』(日経BP社、2013年9月発行)より転載


下園 壮太(しもぞの そうた)
メンタルレスキュー・インストラクター
下園 壮太(しもぞの そうた) 1959年鹿児島県生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。筑波大学で心理学を学ぶ。1999年より陸上自衛隊初の心理幹部として、多くのカウンセリング経験を積む。陸上自衛隊衛生学校メンタルヘルス教官として、衛生科隊員(医師・看護師など)にメンタルヘルス、自殺予防、カウンセリングなどを教育する。惨事ストレスに対応するMR(メンタル・レスキュー)インストラクター。2009年に第8回「国民の自衛官」に選ばれる。「学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ」(日経BP社、2013年9月発行)などの著書がある。

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 腹が立ったとき、つらいとき、不安なとき、自分の心の扱い方を知っていますか? 私が陸上自衛隊の心理幹部として隊員たちに伝えてきた怒りや絶望などの「生々しい感情との向き合い方」は、すべての現代人に役立つものです。悩みの大部分は、人間が「原始時代だったころ」を想像してみると、解決のヒントが見えてきます──「はじめに」より

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