“はしゃぎ系ストレス解消法”では疲れが回復しない
このように「休めない病」と言い換えることもできるうつ病ですが、近年、うつ症状を訴えて会社を休み、海外旅行などに出かけてしまう「新型うつ(非定型うつ)」が話題になっていますね。私はこの新型うつも、休み方を間違えていることから状況を悪くしているのではないかと思うのです。

疲れたな、調子が悪いな、と思うと、だいたい35歳以上の年代ではシンプルに休息をとろうとするのに対して、それよりも若い世代は、異性と遊ぶ、スポーツに熱中する、旅行をするなど、さらにエネルギーを消耗するようなことをしてストレスを発散しようとすることが多いようです。これを私は“はしゃぎ系ストレス解消法”と呼んでいます。楽しい休日を過ごしている間は「復活した」と思えても、たまっていた疲れは解消していないので、休日開けは逆にうつ症状がひどくなり、再び休暇を求めるようになってしまいます。
しかし、これでは「会社を休んで海外旅行に行っているのに、なにがうつだ」と周囲からは理解を得られません。新型うつの場合、「休みたい」と主張しすぎるあまりに、かえって周囲からのサポートを失う結果になる。これも非常に問題です。
うつの人も新型うつの人も、消耗しているのは同じ、休むことが大切なのも同じです。そこで私が提案したいのが、周囲の反発を買わない休み方です。
まず、「休みたい」という切実な思いを誰かに相談しましょう。周囲に気持ちを表現することは「休みやすい」環境作りのためにも必要です。事態が一歩前に進むこともあります。
農耕民族の日本人は、集団から嫌われると生きていけない、と本能的に感じています。だから自分から周囲に「休む」とは言い出しにくい。でも、周囲の理解を得られれば、堂々と休むことができます。新型うつの人も、周囲の理解を得て、“はしゃぎ系”ではなく本当の意味で休息をとることが大切です。
疲れているとき、調子が悪いとき、私は「3日間コースで休む」ことを勧めます。これは、軍隊で心を病んだ人に対して、まずは3日間の休息を与え、しっかり睡眠と食事を与える、という方法からきた考え方です。
うつになった人は自らを「ダメな人間」と責める傾向にありますが、私には「うつは悪い」という感覚はまったくありません。むしろ、「ブレーキをかける時期だよ」と知らせてくれるありがたいサインだと受け取ったほうがいいんです。ときには休息をとりながら、ゆっくり進んでいきましょう。
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